空き家の売却にかかる税金について徹底解説します!固定資産税は負担増の可能性もあり!

空き家

不動産の売却には税金がつきものです。売却後の利益については、税金を考慮に入れて売買を行わないと、後々思わぬ支出が発生する可能性があります。このブログでは空き家の売却時に発生する税金について徹底解説します。

空き家売却時に発生する税金には何があるか?

譲渡所得に注意

空き家を含む、不動産の売却については譲渡所得を考慮する必要があります。

不動産の売却によって得られる売却価格が取得費用及び譲渡費用を超える場合、その差額は利益(譲渡所得)とみなされます。この譲渡所得に対しては、譲渡所得税、復興特別所得税、および住民税が課されます。

計算式: 税金 = (譲渡収入金額 – (取得費 + 譲渡費用)) × 税率

(1) 譲渡収入金額について 譲渡収入金額は、不動産の売却から得られる代金を指します。売却に際しては固定資産税や都市計画税の調整も行われ、これらの調整額も譲渡収入の計算に含まれます。

(2) 取得費について 取得費は、不動産を購入する際に支払った購入金額、仲介手数料などの総額です。これには建物の減価償却費の考慮が必要であり、購入代金及び取得にかかる費用の合計から減価償却費を差し引いた金額が取得費となります。

(3) 譲渡費用について 譲渡費用は、不動産を売却する過程で生じる費用を指します。これには不動産会社への仲介手数料や売買契約書への印紙代などが含まれます。

このように、空き家を売却する際には、得られる収入からかかる費用を差し引いた利益に対して税金が課せられる点に注意が必要です。

譲渡所得に課せられる税率とは

不動産の売却に伴う譲渡所得税の税率は、所有期間によって異なります。所有期間が5年超の不動産売却時は、譲渡所得税率は15%に設定されていますが、5年未満の場合、税率は30%に上昇し、住民税も通常の5%から9%へと増加します。

所有期間の計算においては、相続により取得した不動産の場合、先代が所有していた期間も合算されます。これは、相続後すぐに売却した場合でも、先代が5年以上所有していた不動産であれば、より低い長期譲渡所得税の税率が適用されることを意味します。

長期譲渡所得の計算は、課税対象となる長期譲渡所得金額に対して、所得税15%と住民税5%を加算し、さらに復興特別所得税(所得税額の2.1%)が加わります。短期譲渡所得の場合は、課税短期譲渡所得金額に所得税30%、住民税9%を適用し、復興特別所得税(所得税額の2.1%)を加えた額が税金として求められます。

注意したい不動産取得費の計算方法

不動産を売却する際、売却経費は実際の支出が明確で理解しやすいものですが、多くの方が取得費の計算について疑問を持つことがあります。取得費に関しては、具体的な証明が難しい場合、売却価格の5%を取得費として計算することが許されています。例えば、1,000万円で売却した不動産の場合、取得費は50万円と見なされ、残りの950万円が課税対象となります(税率15%の場合、税額は142万5千円)。

特に、相続により実家を売却するケースでは、先代が購入時に用いた契約書などが見つからない場合が多く、予想外の税金負担に直面することもあります。そうした事態を避けるためには、相続前に重要書類の保管場所を確認しておくことが重要です。さらに、相続不動産の売却に際しては、相続税の額を取得費に加えることが可能な制度もありますので、この点も活用するとよいでしょう。

取得費の証明については、売買契約書などの直接的な取引価格を示す書類がなくても、振込み記録、住宅ローン関連書類、銀行の設定した抵当権証明など、さまざまな証拠をもって取得費と認められることがあります。このため、取得費を適切に証明するためには、これらの書類を丁寧に準備し、管理することが肝心です。

譲渡所得の特別控除を活用し税負担を軽減

空き家を売却する際には、「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」という節税対策を活用できる可能性があります。この特例を用いると、譲渡所得から最大3,000万円の控除が可能ですが、条件を満たす必要があります。

<適用条件>

  1. 相続の直前に故人が居住していた空き家であること。
  2. 相続の直前に故人以外の居住者がいなかったこと。
  3. 昭和56年5月31日以前に建てられた家屋(区分所有建築物を除く)であること。
  4. 相続時から売却時まで、事業用、貸付け用、または居住用として利用されていないこと。
  5. 相続日から3年を経過する年の12月31日まで、かつ、2016年4月1日から2023年12月31日の間に売却されること。
  6. 譲渡価格が1億円以下であること。
  7. 家屋を売却する際に、現行の耐震基準に適合しているか、または解体されていること。

具体的には、(1)親が亡くなる直前まで住んでいた、(2)他に居住者がいなかった空き家を相続し、(3)昭和56年5月31日以前の旧耐震基準で建築された家で、(4)相続後に賃貸等で利用していない状態で、(5)相続から3年以内(2016年6月1日ならば2019年12月31日まで)に、(6)1億円以下で売却し、(7)売却前に耐震補強を施したか解体した場合に、この特例を利用できます。この制度を活用することで、空き家の売却における税負担を著しく軽減することが可能です。

補足:親が要介護認定等を受けている場合

親が介護保険法に規定する要介護認定を受けている場合などで、親の居住用家屋について老人ホームなどに入所してから亡くなるまでの間、賃貸や親以外の人に利用されている実態がない場合などは適用の対象となります。

税金の手続き

確定申告が必要となる

不動産の売却により譲渡所得が生じた場合には、譲渡所得の申告が必要となります。

不動産売却による利益は、所得税の計算において「譲渡所得」として扱われます。重要な点として、不動産売却から生じる譲渡所得は「申告分離課税」の対象となり、他の所得とは別に税率を適用して計算されます。

  • 申告分離課税: 他の所得と分けて税額を計算する方式です。
  • 総合課税: 複数の所得を合算し、その合計に対して税額を計算する方式です。総合課税の対象となる所得には、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得などがあります。

不動産売却による利益は、総合課税の対象となる他の所得とは異なり、独立して税額が算出されます。このため、確定申告を行う際には、通常の確定申告書に加えて、申告分離課税用の確定申告書も必要となります。

土地や建物などの不動産売却による譲渡所得とは異なり、基本的に資産売却による譲渡所得は総合課税の対象です。不動産売却による譲渡所得とこれらを正確に区別し、適切に申告することが重要です。さらに、不動産の貸し付けから得られる収益は不動産所得、不動産売却を事業として行う場合は事業所得として計算されますので、各所得を正しく理解し区分けすることが求められます。

確定申告が不要なケース

不動産を売却した際に、利益が出なかった場合には基本的には確定申告を行う必要はありません。

例えばバブル期に高値で買った不動産で含み損のある不動産の売却や、新築で購入したマンションで、年数が経過し市場価格が購入時より下落しているようなケースが該当します。

判定式: 不動産売却による収入金額 < 取得費+譲渡費用

ただし注意すべき点として、「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」を活用した結果税額が0となるケースについては確定申告が必要となります。これは特別控除を利用するために確定申告が必要となる、と理解しておけば間違えることがないでしょう。

手続きは専門家に頼むことが一番

確定申告の手続きは専門性が高く、かつ申告書類も非常に複雑です。そもそも個人の所得税の概念が非常に複雑で多岐にわたるため、何を提出する必要があるのかさえ調べることが非常に大変です。また不動産の譲渡以外にも年金所得や雑所得、株式の売買によって生じた譲渡所得や配当所得など個人の税金は多岐に渡ります。そのため確定申告と併せて税理士に頼むことをお勧めします。

また税理士に相談する場合には、年明けの確定申告直前ではなく、年末に相談するべきでしょう。これは個人の税金の計算は暦年(1月1日から12月31日)までの所得をもとに計算されるため、申告する税金の年末に一度相談することで納税負担を軽減することができるかもしれません。また事前に税金を試算してもらえるため、納税の資金計画を立てやすいというメリットもあります。

空き家にかかる固定資産税とは?

固定資産税はその年の1月1日時点で土地や家屋を所有する人や法人が市町村の自治体に(東京都23区の場合には東京都)に対して支払う税金です。土地や家屋の固定資産税評価額に対して1.4%(自治体によって上乗せもあり)を年4回に分けて支払います。

当然ながら、祖父母や親から相続を受けた空き家についても発生します。

元々住宅として利用される土地と家屋については、個人の固定資産税の負担を軽減する目的で「住宅用用地の特例」により課税標準額が6分の1となる特例がありました。この特例措置があるため、空き家をそのまま放置する相続人が増え続け、空き家問題が深刻化する中で、平成27年5月に「空室対策特別措置法(空室等対策の推進に関する特別措置法)」が施行されました。これにより、一定の特定空き家については、「住宅用地の特例」が利用できなくなり、固定資産税の負担がこれまでと比較して増えることになります。

税金負担がどれぐらい増えるのかシュミレーション

「空家対策特別措置法」の施行により、特定の条件を満たす「特定空き家」には、従来適用されていた「住宅用地の特例」による固定資産税の優遇措置が取消されます。この措置撤廃により、対象となる空き家の土地は、通常の更地と同等の課税標準額に戻ります。

<固定資産税の課税標準>

  • 空き地(更地で建物なし): 固定資産税評価額の70%×1.4%
  • 住居用地(200平米以下の小規模住宅用地): 固定資産税評価額の1/6×1.4%
  • 住居用地(200平米超の一般住宅用地): 固定資産税評価額の1/3×1.4%

住宅が建つ土地に対する固定資産税は、更地に比べ軽減されています。特に200平米以内の空き家では、課税標準額が大幅に低下する「住宅用地の特例」が適用されます。建物にも固定資産税が課され、「課税標準額×1.4%」の率で計算されます。

<課税標準額のポイント> 課税標準額は、税金計算の基礎となる金額で、土地と建物で異なる基準が適用されます。固定資産税評価額は3年ごとに見直され、納税通知書を通じて所有者に通知されます。自身で調べることも可能ですが、閲覧には手数料がかかる場合があります。

例えば、250平米の住宅用地の固定資産税計算は以下の通りです:

  • 小規模住宅用地部分: 3,800万円÷250平米×200平米×1/6×1.4% = 約70,900円
  • 一般住宅用地部分: 3,800万円÷250平米×50平米×1/3×1.4% = 約35,400円
  • 建物: 1,000万円×1.4% = 140,000円
  • 合計: 約246,300円

「住宅用地の特例」が適用されない場合、固定資産税は以下のように増加します:

  • 土地: 3,800万円×70%×1.4% = 372,400円
  • 建物: 1,000万円×1.4% = 140,000円
  • 合計: 約512,400円

このように、「特定空き家」に指定されると、固定資産税の負担が大幅に増加する可能性があります。「特定空き家」とは、自治体が定める一定の基準に基づき、環境の悪化や安全性の低下などの問題を抱える空き家を指します。

特定空き家の条件とは?

「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、一定の基準に該当する空き家は「特定空き家」として指定され、その結果、固定資産税が増加する場合があります。この指定は、以下の4つの条件のいずれかに該当する空き家に適用されます。

  1. 保安上の危険性: 建物が倒壊するおそれのある状態にある。例えば、劣化により倒壊の危険がある門、看板、屋根瓦等がこれにあたります。
  2. 衛生上の有害性: ゴミや汚物が放置されており、害獣の発生や繁殖により衛生上有害となる可能性がある状態。
  3. 景観の損なわれる状態: 落書き、放置された植物の繁殖、ゴミの放置などにより、景観が著しく損なわれている。
  4. 周辺生活環境の保全上不適切: 動物の侵入、倒木の危険、不審者の侵入の可能性など、周辺の生活環境を損なう状態。

「特定空き家」に指定されると、自治体による立入調査後に改善が求められ、指導や勧告を受けます。この指定からの解除を目指すためには、自治体の指示に従い、必要な改善を行う必要があります。しかし、改善が不十分であれば、固定資産税の軽減措置が適用されなくなり、税額が大幅に増加することがあります。

立入調査の拒否や勧告の無視は罰金を伴う行為であり、最終的には行政代執行による強制的な解体撤去、その費用は所有者が負担することになります。このような状況を避けるためにも、特定空き家に指定された場合は迅速に対応することが重要です。

特定空き家とならないようにするためにすべきこととは

増え続ける空き家に対して自治体も空き家を増やさないためにさまざまな助成金や税金の減免措置を用意しています。

世田谷区は空き家の数が全国で一番となっており、行政と民間の協力によりさまざまな取り組みを行っています。例えば、一般財団法人世田谷トラストまちづくりとの協力により空き家の所有者と地方のコミュニティへの貢献度の高い団体への貸出などを行っています。

荒川区では木造住宅が密集している不燃化特区内で、老朽化した木造住宅を不燃化建築物へ建替えることに対して、以下の助成や税額減免措置を提供しています:

  • 建物の解体除去及び整地にかかる費用を全額助成(1平米あたりの費用上限24,000円、最大延べ面積1000平米まで)。
  • 不燃化建築物の建築設計費と工事監理費の一部を助成。

さらに、以下の固定資産税および都市計画税の減免措置が用意されています:

  • 老朽住宅を解体した場合:最長5年度分、住宅が取り壊された後の土地にかかる固定資産税および都市計画税を80%減免。
  • 不燃化のための建替えを行った場合:5年度分、新築した住宅に対する固定資産税および都市計画税を全額減免。

文京区では、特定空き家問題に対応するため、平成26年度から特定空き家対策事業を実施しています。この事業では、管理不全により特定空き家の条件を満たす空き家を対象に、空き家の除去後に区が無償で借り上げる措置を講じており、解体費用として最大200万円を助成しています。

また、利用可能と判断される空き家については、地域の課題解決に取り組むNPOなどへの情報提供を行い、空き家の再活用を促進しています。

空き家の管理や売却

空き家については、固定資産税の軽減措置があるものの、その利用や管理については問題を先送りにすることなく、専門家に相談しその管理や利用、売却について意見を伺うことをお勧めします。戸建住宅については住まないことで一気に老朽化が進み、いざ売却しようにも買い手が見つからない可能性があります。

空き家の老朽化やメンテナンスについては、下記のブログに不具合について一例を記載しています。

また、マンションについても、マンション全体の老朽化に伴い漏水のリスクなども増えていきます。また老朽化したマンションは売買価格も著しく下がる可能性もあり、早めの対策を取るべきです。

また空き家の放置は、空き巣などの犯罪のリスクや、近隣住民からのクレームのリスクも増します。

弊社では空き家となった戸建やマンションの買取を行っています。不動産の仲介と異なり、即座に買取を行いますので、現金化まで時間がかかりません。また売却に当たって何度も内見を行わないため、近隣住民に売却をしられることもありません。一般への公開も行わないので、購入希望者に自宅を見られる心配もありません。また、まだ売却したくないけれど、管理だけでもお願いしたい、という要望を度々いただきます。弊社では空き家の管理も請け負っています。空き家にお困りの方は一度弊社までご相談ください。

泉俊佑

Sity LLC 代表の泉俊佑です。同社は空き家や事故物件などの売れにくい不動産の買取再販を行う不動産業者です。同社が運営しているサービスサイトである「瑕疵プロパティ買取ドットコム(瑕疵プロ)」の運営者も務めています。宅地建物取引士。

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