空き家の防犯対策:空き巣を防ぐために何をすべき?守るべきポイントとは

空き家

この記事では、「空き家」と「空き巣」の問題について解説します。日本では、所有者が高齢化したり、仕事で遠くに引っ越したりすることで、近年空き家が増加しています。本ブログでは空き家問題について簡単にまとめています。

空き家の定義と統計調査

空き家の定義

空き家の定義は「1年以上住んでいない、または使われていない家」を空き家と定義されています(2014年、空き家等対策の促進に関する特別措置法、通称:空家等対策特別措置法)。具体的な判断基準としては、人の出入りや電気・ガス・水道の利用状況、物件の管理状況、所有者の利用実績などを鑑みて、1年以上利用のない場合には空き家となる場合が該当します。

空き家となる理由

空き家が増え続けている理由としては主に下記の6つがあります。

1. 人口減少の影響 日本の人口は減少傾向にあり、特に地方の衰退と都市部への人口集中が空き家問題を深刻化させています。少子高齢化による人口構造の変化も、相続を通じて空き家が増える大きな要因となっています。

2. 経済的背景 高度経済成長期に促進された新築建設と、その後の経済状況の変化は、空き家増加の背景にあります。経済成長の鈍化と不動産価格の高騰は、新たな空き家を生み出しやすい環境を作り出しています。

3. 建物の老朽化と管理不足 老朽化した建物や適切な管理が行われていない住宅が空き家になるケースは多く、これらの空き家はしばしば危険な状態に陥ります。

4. 相続問題 相続による空き家の取得が増加していますが、複雑な相続手続きや分割協議が長期化することで、空き家が長期間放置されることがあります。

5. 自然災害 地震や台風などの自然災害は、特に老朽化した空き家に大きなダメージを与え、場合によっては周囲にも危害を及ぼします。

6. 固定資産税のルール 固定資産税の計算方法が、空き家を放置するインセンティブとなっているケースがあります。住宅が建っている土地は税負担が軽減されるため、所有者は解体に踏み切りにくい状況にあります。

空き家を放置するリスク

空き家を放置することがなぜ問題視されるのでしょうか。以下に、空き家の放置が引き起こす主な問題を挙げ、それらに対する予防策の必要性を説明します。

  1. 建物の老朽化とそれに伴う危険性
    • 日本の多くの住宅が木造であるため、放置された空き家は、湿気による腐食やシロアリの被害、雨漏りなど、老朽化のスピードが加速します。これにより、小規模な自然災害でさえも、建物の倒壊を引き起こすリスクが高まります。倒壊した建物は通行人や近隣住民に重大な危害を及ぼす可能性があり、行政からの指導の対象ともなり得ます。
  2. 地域景観への悪影響
    • 放置された空き家は、周囲の景観を損ね、地域コミュニティに悪影響を及ぼします。草木が生い茂り、野生動物が住み着くなどの問題が発生しやすく、また、不動産価値にも悪影響を与えるため、地域全体の魅力の低下に繋がります。
  3. 不法侵入、盗難、放火のリスク増加
    • 空き家は不法侵入や盗難、放火などの犯罪に悪用される場所となり得ます。これらの犯罪行為は地域の治安悪化を引き起こし、住民の安全に直接的な脅威をもたらします。定期的な管理と外見の維持は、これらのリスクを低減するために不可欠です。
  4. 近隣住民とのトラブル
    • 空き家の放置は、建物の倒壊や火災、害虫・害獣の発生など、近隣住民との間でトラブルを引き起こす原因となります。これらの問題は、深刻な損害賠償請求や住民間の対立に発展することもあります。

空き家を放置したことによる罰則

空き家を放置することでどのような罰則や損失が発生する可能性があるか説明します。空き家対策特別措置法の下で、特定空き家と認定された場合、所有者は様々な指導や命令に従わなければならず、従わない場合には罰金やさらなる措置が取られることがあります。

空き家対策特別措置法に基づく措置 この法律は、空き家の問題が社会的、環境的にもたらすリスクを抑制するため、2014年に施行されました。特定空き家として指定される基準には、次のような状態が含まれます:

  • 倒壊の危険がある建物
  • ごみの放置や悪臭、害虫の発生
  • 落書きや破損が目立つ建物
  • 動物が住み着いている状態

特定空き家に指定された場合の流れ

  1. 助言 最初のステップとして、行政は空き家の管理改善に向けて助言を行います。これには、危険なブロック塀の撤去や、屋根の修理、道にはみ出している植物の除去などが含まれます。
  2. 指導 助言に応じない場合、行政からの指導が行われます。この段階では、より具体的で迅速な改善措置が求められます。
  3. 勧告 助言や指導を無視した場合、勧告が出されます。勧告を受けると、固定資産税の軽減措置が適用されず、税負担が増加する可能性があります。
  4. 命令と罰則 最終的に、命令が下されます。命令に従わない場合は、50万円以下の罰金が科されることがあります。さらに、行政代執行により建物が強制的に解体されることもあり、その費用は所有者に請求されます。支払いが行われない場合、所有者の財産が差し押さえられることもあります。

空き家が空き巣に狙われる理由

空き巣に入られやすい家の特徴

空き巣に狙われやすい家にはいくつか共通の特徴があります。これらを知ることで、自宅を守るための防犯対策を講じることが可能です。

1. 周囲から隔離された立地の一軒家

  • 一軒家の場合、隣家からの距離が離れており、人目につきにくい環境です。特に人通りの少ない地域では、不審な行動が目立たず、空き巣にとって侵入しやすい条件が整います。

2. 視界を遮る要素が多い家

  • 高い塀や茂った植木、人目につかない位置にある窓など、外からの視界を遮る要素が多い家は、空き巣が行動しやすくなります。これらの要素は、空き巣が目撃されるリスクを減らします。

3. 防犯措置が薄い家

  • 防犯カメラやセキュリティシステムが設置されていない、鍵の施錠が甘い、といった防犯対策が不十分な家は、空き巣にとって魅力的な標的です。特に、長期間留守にする場合には、防犯対策の見直しが必要です。

4. 地域社会からの孤立

  • 近所づきあいがなく、地域社会とのつながりが薄い家は、異常な行動が起きても対応が遅れがちです。空き巣はこのような状況を好み、犯行を計画しやすくなります。

5. セキュリティ設備の不備がある集合住宅の低層階

  • オートロックがないマンションやアパート、特に低層階は、外部からの侵入が容易です。セキュリティの不備を突かれるリスクが高まります。

6. 防犯意識が低い高級マンションの高層階

  • セキュリティ設備が整っているにもかかわらず、個々の住人の防犯意識が低い場合、空き巣はその隙を狙います。特に、施錠を怠るなどの行為は犯罪を誘発する原因となります。

空き巣にねらわれやすい空き家の特徴とは

空き巣に狙われやすい空き家には、いくつか共通の特徴があります。以下にその主な特徴を挙げます。

1.見た目が明らかに空き家であること

  • 草が伸び放題、郵便物が溜まっている、窓が閉まっていない、メンテナンスが行き届いていないなど、家が長期間手入れされていない様子は、空き巣のターゲットとなりやすくなります。

2.セキュリティシステムの不在または古い

  • アラームシステムや監視カメラがない、または古くて効果的でないセキュリティ対策は、侵入者にとって障壁が少ないことを意味します。

3.隠れやすい立地

  • 高い塀や生い茂った植物、閑静で人通りの少ない場所など、外からの視界が遮られている家は、侵入者が目立たずに行動しやすくなります。

4.近隣との関係が薄い

  • 近隣住民とのコミュニケーションが少ない、または全くない場合、異常があっても気づかれにくく、情報が共有されにくいため、空き巣にとってターゲットになりやすくなります。

5.アクセスが容易

  • 裏口や2階の窓など、鍵がかかっていない、または簡単に破ることができる入り口がある家は、侵入しやすくなります。

6.長期間の不在

  • 家主が長期間不在であることが知られている場合、空き巣にとって安全に時間をかけて侵入できる条件となってしまいます。

空き巣以外の防犯上のリスク

不法占拠や不法居住の可能性

空き家を放置することで生じる問題の一つに、不法占拠や不法居住があります。これらは空き家が犯罪の温床になるリスクを高める要因となり得ます。

不法占拠や不法居住

  • 空き家は監視や管理が不十分であるため、ホームレスや住居を求める人々による不法占拠の対象となりやすいです。
  • このようにして占拠された空き家は、電気や水道などの基本的なライフラインを無許可で使用される場合があり、これらの不正使用は所有者に未払いの請求として跳ね返る可能性があります。

犯罪の温床

  • 不法占拠された空き家は、薬物の使用や売買、その他の違法行為の隠れ蓑として利用されることがあります。
  • これらの活動は、犯罪率の上昇を引き起こし、周辺地域の安全性を低下させる原因となります

放火などの犯罪

空き家は人の目がなく、燃えやすい枯れ草やゴミ、紙ごみなどが散乱していることなどから、不審者による放火の対象となる可能性が高いと言えます。

消防庁の調査によると、日本全国で発生した火事の約5件に1件は「放火」または「放火の疑い」が原因であることが明らかにされています。これは、年間の出火件数44,102件中、実に8,524件が「放火」または「放火の疑い」であるとされています。特に人口が集中する大都市では、放火による火災の件数が多く、東京都、大阪府、埼玉県、神奈川県、愛知県が上位を占めています。このことから、大都市における空き家や空地の所有者は特に注意が必要であることが示されています。

放火される原因としては、門扉の不在や施錠されていないことによる容易な進入、人目がないと思われる環境、施錠されていないドアや窓、そして建物周辺や内部に放置された燃えやすい物質が挙げられます。これらは放火犯にとって好都合な条件となり、放火のリスクを高めます。

ゴミの不法投棄などにより物的損害が生じる可能性

空き家を放置することにより、ゴミの不法投棄などが生じ、物的損害が生じる可能性があります。

  1. 環境汚染
    • 不法投棄されたゴミから出る有害物質が土壌や地下水を汚染し、周辺環境への悪影響を及ぼす可能性があります。
  2. 景観の悪化
    • ゴミが散乱することで、周辺の景観が著しく損なわれます。これは、地域の魅力の低下につながり、不動産価値の下落を引き起こす可能性があります。
  3. 害虫・害獣の発生
    • ゴミの中には、害虫や害獣を引き寄せるものが多く含まれています。その結果、衛生問題が発生し、さらにはこれらの生物による建物への損害が起こることもあります。
  4. クリーンアップの費用
    • 不法投棄されたゴミを撤去し、敷地をクリーンアップするには相当な費用がかかります。これは、空き家の所有者や地域の自治体にとって大きな負担となり得ます。

空き家の防犯対策の基本

物理的な対策をとる

空き家を不審者から守るために最も有効な手段としては、鍵の交換や高品質なものへの変更など、物理的な防御策の強化が最も有効です。特に、古い錠前はピッキングによる不正開錠のリスクが高いため、防犯性能が高い最新の鍵への更新が推奨されます。

ピッキングしにくい鍵に交換する

ピッキングしやすい鍵の特徴については、ディスクシリンダー型、インテグラル型、円筒型などがあります。

  1. ディスクシリンダー型: 日本で広く普及していた鍵で、構造がシンプルであるため、ピッキングが容易です。鍵穴が縦型で中心が「く」の字になっており、鍵穴の溝が浅く少ないため、熟練した犯罪者なら1分もかからずに開錠できます。2000年以前に建てられた建物に多く残っており、ピッキングのターゲットになりやすいです。
  2. インテグラル型: 扉の外側のドアノブに鍵穴がついているタイプで、安価なため多くの建物に採用されています。鍵穴とドアノブが一体化しており、力による破壊やドアノブの取り外しによって簡単に開錠されるリスクがあります。特に古いマンションや一戸建ての勝手口で見られ、ピッキング犯に狙われることがあります。
  3. 円筒型(モノロック): 室内の部屋の鍵として頻繁に用いられ、ドアノブのボタンで施錠します。古いマンションや一戸建てに時々採用されていましたが、ピッキング対策はほとんど施されておらず、力による破壊が容易です。玄関にこのタイプの鍵が使われている場合、ピッキング犯に狙われやすくなります。

対して、ピッキングされずらい鍵には、ディンプルキー、カードキー、指紋認証型、暗証番号型などがあります。これらの鍵については、ピッキングにあたり少なくとも10分以上の時間がかかるなど、耐ピッキング性能を備えた鍵となっています。

  1. ディンプルキー: 表面が微妙にくぼんでいる特徴を持ち、内部でピンが押し上げられる複雑な構造をしています。ピッキングにかかる時間が長く、複製も困難なため、高い防犯効果を持ちます。
  2. カードキー: 物理的な鍵穴がなく、専用のカードをセンサーに近づけて解錠します。鍵穴がないためピッキングを試みることができず、オートロック機能も標準で備えていることが多く、複製も難しいです。
  3. 指紋認証型: 個人の指紋を用いて解錠するシステムで、複製が不可能であり、ピッキングのリスクを根本から排除します。高度なセキュリティニーズに対応可能ですが、設置コストが高いというデメリットがあります。
  4. 暗証番号型: 物理的な鍵を使用せず、数字の暗証番号を入力して解錠します。鍵穴がなく、ピッキングのリスクがない上に、鍵を持ち歩く必要がないため、紛失の心配もありません。

窓ガラスに防犯フィルムを貼る

窓に関しては、防犯フィルムの貼付によりガラス破りによる侵入を効果的に阻止できます。

防犯フィルムを窓ガラスに貼ることによる主なメリットは以下の通りです。

  1. 窓ガラスの破壊を困難にする: 防犯フィルムは、ガラスが割れにくくなるように設計されています。ハンマーなどで叩いても、フィルムがガラスの飛散を防ぎ、貫通しにくくなります。これにより、空き巣が窓ガラスを破って侵入するのが難しくなります。
  2. 侵入時間の延長による侵入抑止効果: 統計によると、侵入に5分以上かかる場合、約7割の侵入者が諦めるとされています。CPマークがついた防犯フィルムは、5分以上の耐久力があると試験で確認されており、侵入を抑止する効果があります。
  3. 施工の容易さとコストパフォーマンス: 防犯ガラスへの交換や二重窓の設置に比べ、防犯フィルムは施工が簡単で、費用も抑えられます。このため、比較的手軽に窓の防犯性能を高めることが可能です。
  4. 二次被害の防止: 台風や地震で窓ガラスが割れた際にも、飛散する破片による二次被害を防ぐことができます。これは、緊急時に外に脱出する必要がある場合にも安全性を高めます。
  5. 追加機能の利用: 防犯フィルムには、UVカットや虫除け、プライバシー保護のための半透明タイプなど、日常生活で役立つ追加機能を持つ製品もあります。

防犯カメラやセンサーを設置する

防犯センサーやカメラの設置などにより防犯効果を高める方法も重要な空き巣対策となります。例えば動きを検知するセンサーは、侵入者が敷地に足を踏み入れた瞬間に警報を鳴らし、即座に周囲に警告を発します。防犯カメラは、侵入者の行動をリアルタイムで記録し、犯罪の抑止に寄与するだけでなく、もし事件が起きた場合には貴重な証拠材料を提供します。これらの技術的対策を取り入れることで、空き家の所有者や管理者は、遠隔地からでも自宅のセキュリティ状況を把握し、積極的に安全を保つことが可能になります。

これらの防犯対策については、大手防犯会社なども家庭用にサービスのみならず、市場でも様々な防犯グッズが販売されています。市場で販売されている防犯グッズについては、コストが安い面がメリットですが、その設置に当たっては技術的な専門性が必要となる場合があり、個人で設置するには難しい場合などがあります。

環境対策

環境対策は、空き家の外周環境を整備することにより、防犯性を高めるアプローチです。この戦略の中で特に重要なのは、照明の充実です。充分な明るさで周辺を照らすことで、侵入者にとって抑止効果を持つ不便な環境を作り出します。

また、空き家であっても、外観のメンテナンスを怠らず、草刈りを定期的に行ったり、郵便物を整理することで、常に何らかの監視下にあるかのような印象を与えることができます。

さらに、近隣住民と連携し、空き家周辺の状態を共に監視することは、防犯におけるコミュニティの力を活用することにつながり、効果的な犯罪予防策となり得ます。

空き家の利用促進と管理

利用促進のアイデア

空き家を有効活用することは、所有者にとっても地域社会にとっても多大な利益をもたらす可能性があります。空き家の土地を駐車場として利用することは、特に駐車スペースが貴重な都市部において、定期的な収入源となり得る一例です。さらに、空き家の庭を地域のコミュニティガーデンやイベントスペースとして開放することは、近隣住民との絆を深め、空き家への不法侵入や犯罪のリスクを減少させる効果が期待できます。

定期的な管理

空き家の適切な管理は、犯罪防止と物件価値の維持に不可欠です。管理を自身で行うのが難しい場合、専門の管理会社に委託することが一つの解決策です。これらの会社は、空き家が不法占拠や盗難の被害に遭わないよう、定期的な清掃やメンテナンスを実施します。さらに、近隣住民と協力することも大切です。地元の人々に空き家のチェックを依頼し、何か異常があった場合には速やかに対応できるようにすることで、安全性を高めることができます。これらの取り組みにより、空き家を安全かつ有効に管理し、長期的にその価値を守ります。

空き家の管理には専門家のアドバイスも有効

空き家防犯対策に関する専門家の意見やアドバイス

空き家の安全を確保するためには、専門家からのアドバイスが非常に有効です。当社では、定期的な見回りや郵便受けの管理、ゴミの処理など、定期的なメンテナンスサービスを提供しています。

さらに、お客様のご要望に応じて、防犯カメラや動きを感知するセンサーの設置、およびこれらをスマートフォンで遠隔操作できるシステムの利用といったサービスも展開しています。

サービス内容はお客様のご要望に応じて柔軟に対応しております。まずはお電話、LINE、メールにてお気軽にご相談ください。当社スタッフがお客様の状況やご要望に合わせたサポートを提供させていただきます。

泉俊佑

Sity,Inc.代表の泉俊佑です。同社は空き家や事故物件などの売れにくい不動産の買取再販を行う不動産業者です。同社が運営しているサービスサイトである「瑕疵プロパティ買取ドットコム(瑕疵プロ)」の運営者も務めています。宅地建物取引士。

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