「地震などの災害と不動産に対する意識調査」を実施しました。

アンケート調査

「瑕疵プロパティ買取ドットコム」を運営する合同会社sity(本社:東京都世田谷区、代表者:泉俊佑)は、521人を対象にインターネット調査を行い、地震などの災害と不動産に関する意識調査を実施しました。

調査の背景・目的

この調査は、地震災害のリスクが各地で懸念される中、地震災害への備えや自宅不動産のリスクに関する認識、およびその因果関係を把握することを目的に実施されました。災害リスクや不動産の安全性に対する一般的な認識や行動を評価し、物件管理や災害対策計画への応用を目指しています。

調査の概要

調査名:地震などの災害と不動産に対する意識調査
調査方法:インターネット調査
調査期間:2024年2月9日(金)~2024年2月9日(金)
対象者:18歳以上の男女
回収数:521サンプル

調査サマリー

  • 年齢分布では、35-44歳が最も多く、次いで45-54歳、25-34歳、55歳以上、18-24歳の順。
  • 性別では、55.9%が女性、44.1%が男性。
  • 不動産所有状況では、家族名義が最も多く、次いで賃貸、自己所有。
  • 住んでいる地域の種類は、小規模都市や田舎が多い。
  • 災害経験は多岐にわたり、住居のタイプも様々。
  • 災害への恐怖心は「感じる」が最も多く、安全性に関する情報収集は「たまに行う」が最も多い。
  • 現在の住居に対する満足度は「満足」が最も多く、将来の住居計画では移住や住み替えを考えている人が多い。
  • 災害への備えとしては、備蓄品の準備が最も多い。

調査結果の詳細

年齢分布

  • 35-44歳が36.1%で最も多く、次いで45-54歳(25.7%)、25-34歳(21.3%)、55歳以上(14.4%)、18-24歳(2.5%)の順です。

性別分布

  • 回答者の55.9%が女性、44.1%が男性です。

不動産所有状況

  • 家族名義の不動産ありが43.4%で最も多く、賃貸住宅に住んでいるが31.3%、自己所有の不動産ありが24.4%と続きます。

住んでいる地域の種類

  • 小規模都市または街が20.2%、中規模都市の郊外が19.6%、大都市圏の郊外が18.6%、中規模都市の中心部が15.7%、大都市圏の中心部が14.2%、田舎や農村地域が11.7%です。

災害経験

  • 回答者は多岐にわたる災害経験を報告しており、それぞれの災害で受けた影響についても様々です。

住居のタイプ

新築マンション(築10年未満)36
中古マンション(築10〜20年未満)64
中古マンション(築20〜30年未満)59
中古マンション(築30〜40年未満)35
中古マンション(築40年以上、旧耐震基準)20
新築戸建(築10年未満)74
中古戸建(築10〜20年未満)55
中古戸建(築20〜30年未満)56
中古戸建(築30〜40年未満)39
中古戸建(築40年以上、旧耐震基準)49
その他34

災害への恐怖心

非常に感じる125
感じる235
普通113
感じない43
全く感じない5

安全性に関する情報収集の頻度

定期的に行っている96
災害発生時に限り行う163
たまに行う223
全く行わない39

現在の住居に対する満足度

非常に満足55
満足194
可もなく不可もなく165
不満81
非常に不満26

将来の住居計画

  • 現在の住居を継続して住む予定の人から、安全性を理由に移住や住み替えを考えている人まで、様々な意見があります。
  • 継続して住む予定の人々の数: 180名
    • 主な理由としては、耐震性が高い、立地が気に入っている、安全面に不安がないなどの理由が挙げられています。
  • 移住や住み替えを考えている人々の数: 341名
    • 移住や住み替えを考える主な理由としては、家の裏が山で土砂崩れのリスクがある、定年後に田舎のセカンドハウスに移住する計画がある、具体的な計画はないが住み替えを考えているなどが挙げられています。

災害への備えとして何をしているか

アンケートの回答を分析した結果、災害に備えた準備として主に次のような意見がありました

  • 備蓄品の準備:全体の約57.4%の回答者が、水や食料、トイレなどの必需品の備蓄について言及しています。
  • 家具の安全対策:約6.9%の回答者が、倒れると危険そうな家具を固定するようにしていると述べています。
  • 災害時用具の準備:約24.6%の回答者が、非常食や災害時のグッズ一式(災害用バッグ含む)の準備をしていると回答しています。
  • 発電装置の導入:約2.7%の回答者が、将来的に発電装置の導入を考えていると述べています。
  • 準備不足/その他:わずか0.2%の回答者が、準備が不十分であることを認識しつつ、最低限の水の備蓄はしているとの意見を示しています。

この分析から、多くの人々が災害への備えとして備蓄品の準備を最優先に考えていることが明らかになりました。また、災害時用具の準備も重要な対策として位置づけられており、家具の安全対策や発電装置の導入についても、一部の人々が考慮していることが分かります。全体的に、準備のレベルや焦点は回答者によって異なりますが、多くの人が災害対策の重要性を認識していることが伺えます。 ​

考察

不動産所有と災害への恐怖心:意外な関係性

サマリー

本アンケート調査によると、不動産を所有している人と非所有者の間で、災害に対する恐怖心に大きな差は見られないことが明らかになりました。具体的には、所有者グループの平均恐怖心レベルは約1.75、非所有者グループは約1.89と、両グループともに災害への一定の懸念を抱えているものの、その差は意外と小さいことが判明しました。

アンケート調査の分析

回答者は「自己所有の不動産あり」「賃貸住宅に住んでいる」「家族名義の不動産あり」の3つのカテゴリーに分類され、災害への恐怖心は「非常に感じる」「感じる」「普通」「感じない」の4段階で評価されました。

不動産所有者グループ(127名)と非所有者グループ(385名)の分析では、所有者グループで「感じる」が56名、「普通」が29名、「非常に感じる」が27名であり、非所有者グループでは「感じる」が177名、「非常に感じる」が97名、「普通」が84名でした。このデータから、両グループとも災害に対して一定程度の懸念を持っているが、不動産の所有有無が恐怖心の強さに直接的な影響を与える訳ではないことが示されました。

本文

本アンケート調査を実施するにあたり、「不動産を所有する人は災害に対してより大きな恐怖心を抱く」という仮説を持って調査を実施しました。結果として、これらの仮説は今回の調査結果により必ずしも支持されませんでした。所有者グループの平均恐怖心レベルは1.75、非所有者グループは1.89と、所有者グループの方が若干低いものの、この差は統計的に大きな意味を持つものではありません。

この結果が示唆するのは、災害への恐怖心は不動産の所有有無よりも、個人の過去の経験や情報収集の頻度、そして個々人の性格や価値観など、より複雑な要因によって影響される可能性があるということです。例えば、災害経験の有無や、安全性に関する情報へのアクセス度合いが、人々の恐怖心に大きな影響を与えているかもしれません。

また、非所有者の中には、住んでいる賃貸住宅の安全性に対する不安から「非常に感じる」と回答した人が多く見られました。これは、所有者と比較して非所有者の方が、住居の安全に対するコントロールが限られているため、災害に対する不安が高まる傾向にあることを示唆しています。

総じて、災害への恐怖心は多様な要因によって形成されるものであり、不動産の所有有無だけでなく、より広範な視点から理解する必要があることが、この調査から明らかになりました。今後は、災害への準備や対策を考える際に、これらの要因を考慮に入れることが、より効果的なリスクマネジメントにつながるでしょう。

地域による災害への恐怖心の違い:仮説検証の結果

サマリー

本調査にあたっては、「都市圏に住んでいる人ほど地震や火災などについての恐怖心が強い」という仮説を設定してアンケートを実施しました。統計的分析を通じて、大都市圏、中規模都市、田舎や農村地域それぞれの住民の災害への恐怖心に有意な差が見られないことが明らかになりました。この結果は、災害への恐怖心が地域によってではなく、個人の経験や情報へのアクセスにより影響される可能性を示唆しています。

アンケート調査の分析

回答者は現在お住まいの地域の種類、過去に経験した災害とその影響、災害への恐怖心、安全性に関する情報収集の頻度、現在の住居に対する満足度、災害への備えについて答えました。

分析ロジック

地域の種類(大都市圏、中規模都市、田舎や農村)ごとに、災害への恐怖心の度合いを分類し、χ2乗検定を用いて統計的な差異を検証しました。具体的には、回答者の災害への恐怖心の度合い(「全く感じない」「感じない」「感じる」「普通」「非常に感じる」)の分布を地域別に比較しました。

分析結果

大都市圏の住民の中で、「感じる」または「非常に感じる」と回答したのは112人中76人(約67.9%)、中規模都市では64人中43人(約67.2%)、田舎や農村地域では231人中116人(約50.2%)でした。しかし、χ2乗検定の結果、p値が0.284となり、統計的に有意な差が認められなかったため、地域の種類によって災害への恐怖心に差があるとは言えません。

※分析詳細はブログ最後に記載

本文

本調査は、特定の地域に住むことが個人の災害に対する恐怖心にどのような影響を与えるかを理解するために実施されました。結果として、仮説「都市圏に住んでいる人ほど地震や火災などについての恐怖心が強い」という仮説は支持されませんでした。これは、災害への恐怖心が地域の種類よりも、個人の経験や情報へのアクセスといった他の要因により大きく影響されることを示しています。

今回の調査結果は、災害対策や防災教育の計画において、地域ごとの違いに注目するだけでなく、個人の経験や情報収集の態度に焦点を当てるべきであることを示唆しています。さらに、災害への備えや恐怖心に関する個々の感覚を理解するためには、より詳細な調査が必要であることも明らかにしました。

安全性を求める都市住民の住み替え意向に関する調査結果

サマリー

古いマンションや戸建てに住んでいる人々の間に、安全性を理由とした住み替えの需要が存在することが明らかになりました。災害経験者、賃貸住宅の居住者、および大都市圏の郊外に住む人々は特に、より安全な住環境への移住を検討していることが示されています。

アンケート調査の分析

この調査は、事故物件に対する意識と、安全な住環境への潜在的な移住願望を探ることを目的としています。分析の結果、災害を経験した人々の中で約26.1%が住み替えを検討しており、賃貸住宅に住んでいる人々ではその比率がさらに高くなっています。具体的には、災害経験者のうち住み替えや移住を検討している人は118人、賃貸住宅に住む人々の中で55人が住み替えを考えていることが明らかになりました。一方で災害を経験していない人では18人が住み替えを検討している形となっています。また、大都市圏の郊外に住んでいる人々が29人と、他の地域(大都市は24人、田舎は13人)に比べて住み替えを検討している割合が高いことがわかりました。

本文

アンケート結果によると、安全性に関する懸念は多くの都市住民にとって重要な移住や住み替えの動機となっています。特に、古い建物に住む人々や賃貸住宅に住む人々の間で、災害への備えとしてより安全な住居への移住願望が強いことが確認されました。この傾向は、災害経験がある人々や大都市圏の郊外に住む人々に特に顕著で、安全性を考慮した住み替えの意向が高いことが示されています。

分析からは、住居の安全性に関する意識が、住み替えや移住の意向に大きく影響を及ぼしていることが明らかになりました。災害経験者の中で、約26.1%が安全性を理由に移住や住み替えを検討しており、この数字は、経験のない人々と比較して高い割合です。さらに、賃貸住宅に住む人々の中では、その比率がさらに上昇し、災害への備えとしての住み替えの意向が強いことが示されています。

泉俊佑

Sity LLC 代表の泉俊佑です。同社は空き家や事故物件などの売れにくい不動産の買取再販を行う不動産業者です。同社が運営しているサービスサイトである「瑕疵プロパティ買取ドットコム(瑕疵プロ)」の運営者も務めています。宅地建物取引士。

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「地域による災害への恐怖心の違い」についての仮説検証

各地域カテゴリごとに災害への恐怖心の度合い(「全く感じない」「感じない」「感じる」「普通」「非常に感じる」)の分布は以下の通りです:

  • 大都市圏
    • 全く感じない:3
    • 感じない:14
    • 感じる:76
    • 普通:42
    • 非常に感じる:36
  • 中規模都市
    • 全く感じない:0
    • 感じない:12
    • 感じる:43
    • 普通:26
    • 非常に感じる:21
  • 田舎や農村
    • 全く感じない:2
    • 感じない:17
    • 感じる:116
    • 普通:45
    • 非常に感じる:68
  • カイ二乗統計量: 9.739.73
  • p値: 0.2840.284
  • 自由度: 88
  • 期待度数:
    • 大都市圏: 全く感じない1.641.64、感じない14.1114.11、感じる77.1377.13、普通37.0937.09、非常に感じる41.0341.03
    • 中規模都市: 全く感じない0.980.98、感じない8.428.42、感じる46.0146.01、普通22.1222.12、非常に感じる24.4724.47
    • 田舎や農村: 全く感じない2.382.38、感じない20.4720.47、感じる111.86111.86、普通53.7953.79、非常に感じる59.5059.50

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