再建築不可物件の購入やリフォームに際し、住宅ローンやその他の融資を活用する方法を探求します。再建築不可であることの意味、住宅ローンの利用が困難な理由、返済リスクの高さ、そして担保価値の問題点を解説。さらに、フラット35の利用可能性、ノンバンク融資、フリーローン、不動産担保ローン、リフォームローンの適用範囲についても検討します。最終的には、再建築可能にする方法として隣地の買取やセットバック、特例申請の道を提示し、再建築不可物件の潜在的価値を引き出す策をまとめています。
まず再建築不可物件とは何か
再建築不可物件とは、一般的には、その土地に新たに建物を建て直すことができない物件のことを指します。これは、都市計画法や建築基準法といった法律や条例により、新たな建築が制限されているためです。具体的には、建築基準法に違反したまま建てられてしまった既存の建物や、都市計画区域外で建てられた建物などが該当します。それらの建物は、一度解体してしまうと同じ規模の建物を再建することはできません。また、用途地域や容積率などの規制が変更された結果、新たな建築が許可されない場合もあります。このような物件を購入する際には、購入後のリスクを十分に理解した上で判断することが求められます。今後の記事では、再建築不可物件と住宅ローンの難しさや、再建築不可物件に対する融資の取得方法について詳しく解説していきます。
再建築不可物件と住宅ローンの難しさ
再建築不可物件における住宅ローン獲得は一般的な不動産取引と比較して困難が伴います。安定した収入と長期の勤務歴がある企業や官公庁の職員であれば、通常の住宅購入時には住宅ローン審査を通過する可能性が高いとされます。しかし、再建築不可物件の購入を考える場合、購入者の資質が貸出基準を満たしていても融資を受けられない事態が発生することがあります。この背景には、再建築不可物件が担保価値として見劣りすること、さらに金融機関にとっての返済リスクが高まることがあります。これらの点を詳細に検討していきます。
再建築不可物件の高い返済リスク
再建築不可物件は、多くのリスクを伴う特殊な不動産カテゴリーに属します。例えば、火災や地震などの災害が発生した場合、所有する土地に新たに住宅を建築することができないため、購入者は家を失うリスクを負うことになります。このような状況では、購入者はローン返済の継続と同時に新しい住居への賃貸料を支払うなど、二重の経済的負担を背負う可能性があります。この結果、購入者の経済状況が悪化し、返済不能に至るリスクが高まります。これらのリスクが金融機関にとっての融資のハードルを高める要因となり、再建築不可物件への住宅ローンの提供を控えさせます。ただし、購入者が自己資金を多く用意することで審査基準が若干緩和される場合もありますが、その可能性に過度に期待するべきではありません。
再建築不可物件の担保価値の低さ
住宅ローンの借入れに際して、購入予定の不動産を担保にすることは一般的な手続きです。返済不能に陥った場合、この不動産を通じて金融機関は貸し付けた資金の回収を試みます。ただし、このプロセスは不動産が十分な価値を担保として持つことが大前提です。再建築不可物件は、通常の不動産市場において価値が低いと評価されがちです。金融機関にとっては、この種の物件を担保にしても、売却時に低価格でしか取引されず、貸付金の完全な回収が困難となるリスクが伴います。結果として、再建築不可物件が担保価値として認められにくい傾向にあり、住宅ローンの提供が控えられることが多いのです。
フラット35は使えるか?
再建築不可物件を購入する際、フラット35を利用することはできません。フラット35を活用して中古住宅を購入する条件には、対象住宅が法令に適合している必要があり、「取得予定の住宅が法的に適正であること」が基本要件です。再建築不可物件は、建築基準法の要件を満たさず建築許可が得られない物件に該当するため、この前提条件をクリアすることができません。
さらにフラット35には、「住宅の敷地が原則として公共の道路に2メートル以上接していること」が技術基準として設けられています。多くの再建築不可物件は、建築基準法第43条に定められた接道義務を満たさないため、この条件も満たせずフラット35の利用資格が得られません。故に、再建築不可物件の購入にはフラット35の利用は適していないと結論付けられます。
そもそもフラット35とは?
フラット35は、民間金融機関と独立行政法人住宅金融支援機構によって提供される固定金利型の長期住宅ローンで、最長返済期間は35年です。このローンの主な特徴は、固定金利であるため、金利変動のリスクがなく、金利が上昇しても返済額は変わらない点にあります。また、年収が低い人でもアクセスしやすく、保証人や保証料が不要である点もメリットとして挙げられます。しかし、金利が下がった場合には、その恩恵を受けにくい、一定の頭金が必要、購入する住宅が一定の基準を満たす必要があるといったデメリットも存在します。
住宅金融支援機構は、国土交通省や財務省の管轄下にある国の機関であるため、法規制に準拠しない建物や安全性が確保されていない物件への購入支援は行いません。このため、建築基準法の接道義務を満たさない再建築不可物件は、フラット35の対象外となります。この点が再建築不可物件を購入しようとする際の大きな障壁の一つです。
再建築不可物件のリフォームにフラット35を使えるか?
一般に、フラット35は住宅リフォームプロジェクトに直接利用することはできません。この原則は、再建築不可物件にも、再建築可能な物件にも等しく適用されます。しかし、中古住宅の購入とそれに伴うリフォーム、または住宅事業者によってリフォーム済みの中古住宅を購入する場合は、【フラット35】リノベーションローンの利用が可能で、これを通じて低金利での融資が受けられる特例です。
それでも、フラット35を違法建築物の購入に使用することはできず、再建築不可物件の場合、建替えや大規模な増改築、リフォーム(特定の例外を除く)は原則として実行不可能です。この理由は、これらの工事が建築許可の申請を必要とし、再建築不可物件ではその要件を満たせないためです。
その他のローンで再建築不可物件の購入はできる?
通常の住宅ローンやフラット35を除くと、再建築不可物件の購入はノンバンクローン、フリーローン、または不動産担保ローンを活用することで可能になる場合があります。これらの融資オプションは、金利の高さや担保要件といった点で挑戦が伴いますが、適切な計画と条件下では実現可能です。各ローンの特性を理解し、懸念点を慎重に考慮しながら検討することが重要です。これにより、再建築不可物件の購入を考える際の、代替的な融資手段についての理解を深めることができます。
ノンバンクでの融資
再建築不可物件の購入資金として、銀行以外の金融機関、具体的にはクレジットカード会社や消費者金融からのノンバンクローンを利用する方法があります。これらの金融機関では、銀行に比べ審査基準が柔軟であり、再建築不可物件を購入する場合でも融資を受けやすい傾向にあります。しかし、その反面として金利が比較的高い点がデメリットです。例えば、銀行ローンが年利0.5%程度であるのに対し、ノンバンクローンでは平均して年利4~5%が一般的です。
審査に際しては、物件の状態も評価の対象となるため、非常に劣悪な状態の物件では貸し倒れリスクが高いと判断され、融資が拒否される可能性があります。また、融資を受けるにあたっては頭金の提供を求められることもあり、その場合は購入者が自己資金を一定額準備する必要があります。
フリーローンの活用
通常、ローン製品にはその用途が限定されています。例えば、「住宅ローン」は住宅購入、「自動車ローン」は車の購入に特化しています。しかし、「フリーローン」はその名の通り、借りた資金を自由に使用できるローンで、再建築不可物件の購入にも活用することが可能です。
フリーローンの特徴として、一般的な住宅ローンに比べて審査が柔軟である一方で、金利がやや高めに設定されている点があります。金利はおおよそ4~5%程度が相場です。これはノンバンクローンと似た金利水準であり、比較的高金利であることに変わりありません。また、フリーローンの利用にあたっては、審査に時間がかかることや、一度に融資を受けることができる金額に制限があるなどのデメリットが存在します。
不動産担保ローンの利用
不動産担保ローンは、所有している不動産を担保にして融資を受ける方法です。このローンを利用する際は、再建築不可物件以外に所有している、価値が認められる不動産(例えば自宅や他の土地など)を担保として提供します。この方法を選択すれば、ノンバンクやフリーローンに比べて、より低金利で融資を受けることが可能になります。
しかし、利用にあたっては、再建築不可物件以外にも資産価値のある不動産を所有している必要があります。既にローンの返済が残っている不動産を担保にする場合、その残債に加えて新たに借り入れる再建築不可物件購入のためのローン返済が加わり、財務状況を複雑にし、資金繰りを厳しくします。返済に失敗した場合、担保として提供した不動産を失うリスクがあり、この点で高リスクな選択と言えます。
リフォームローンでの融資
リフォームローンは、主に住宅の改修や修繕を目的とした融資です。このローンは、再建築不可物件を購入後のリフォーム、または既に所有している再建築不可物件のリフォームに適用可能です。一般的な住宅ローンに比べて審査基準が比較的緩和されているものの、借入れ可能な上限額は500万円から1000万円程度と限定されています。
再建築不可物件でも、リフォームローンを活用して内装や設備の更新、不具合がある箇所の修繕を行うことで、居住性を向上させることが可能です。しかし、重要な点として、建築物の基本的な構造に大きな変更を加えることは許されていません。つまり、大規模な改築や増築などは、再建築不可物件の条件下では実施できないため、リフォーム計画を立てる際にはこれらの制約を十分に考慮する必要があります。
再建築可能な物件にすることで住宅ローンを利用する
再建築不可物件を再建築可能な物件にすれば、通常の物件と変わらなくなるため、住宅ローンが組めるようになる可能性があります。再建築不可物件を建築可能にする方法は、主に以下の3つです。
- 隣地を買い取り間口を2m以上にする
- セットバックを行い道幅を4m以上にする
- 43条の但し書き申請を行う
それぞれ下記で解説していきます。
隣地を買い取り間口を2m以上にする
再建築不可物件を住宅ローンで購入または改修するためには、物件が建築基準法に定める道路に2メートル以上の間口で接している必要があります。間口が2メートル未満の場合、隣接地を借りるか購入して間口を2メートル以上に拡張する方法があります。このプロセスには、隣接地の所有者との交渉が必要で、土地を賃貸借契約で借りるか、分筆して購入する選択肢が考えられます。この方法により、再建築不可とされていた物件が、建築基準を満たし、再建築可能となり、結果的に住宅ローンの利用が可能になるケースがあります。
セットバックを行う
建築基準法によれば、新たに建物を建てるためには、その建物が4メートル以上の公道に最低2メートル以上接している必要があります。これがいわゆる「接道義務」と呼ばれるものです。再建築不可となる主な理由の一つが、この接道義務を満たしていないことにあります。しかし、接道義務を満たさない土地でも、セットバック(敷地の一部を道路に譲渡して公道の幅を広げること)を行い、道幅を4メートル以上にすることで、再建築が可能となる場合があります。このセットバックを実施した場合、新たに形成された部分の土地所有権は原則として土地の所有者に留まりますが、場合によっては地方自治体に寄付することや、自治体からの買取の可能性もあります。このようにして再建築可能な状態にすることで、住宅ローンを含む融資の活用が見込めます。
セットバックについては下記にさらに詳しく記載しています。
43条の但し書き申請を行う
再建築不可物件で接道義務を満たせず隣接地の借地や購入が困難な場合、建築基準法第43条の但し書き申請により再建築可能性を探求できます。この申請は、特定の条件下で再建築が認められる特例であり、広い空地が周囲にあり、交通、安全、防火、衛生上の問題がないと特定行政庁が認め、建築審査会の同意を得た場合に限ります。この方法で許可を得ることができれば、不動産の価値を高める建て替えが可能になり、資産価値の向上が期待できます。しかし、このアプローチには「売却しにくい」「将来的に再建築が困難になる可能性」といったリスクも伴います。
43条2項については下記のブログに詳細を記載していますのでぜひご覧ください。
まとめ
再建築不可物件は、資産価値が低く見られがちであり、通常の住宅ローンを利用しての購入が困難です。このような物件の売却は非常に難しいとされ、一般の不動産市場での売買には向きません。再建築不可物件の売却を検討する場合、特化したアプローチが必要となります。
不動産買取業者への直接売却が一つの解決策です。これらの業者は、住宅ローンの資金調達に依存しないため、再建築不可物件でも買取を検討してくれる可能性があります。
再建築不可物件の所有者で、売却を考えているが市場での需要が見込めない場合、訳あり物件専門の買取業者に相談することをお勧めします。専門業者は、通常の不動産市場では評価されにくい特性を持つ物件の価値を見出し、適正価格での取引を提案してくれる可能性が高いです。
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