囲繞地通行権と通行地役権について解説します!取得・消滅の要件や登記についても解説

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このガイドでは、囲繞地通行権と通行地役権について詳しく解説します。囲繞地とは何かから始め、囲繞地通行権の概要、民法上の権利としての拒否不可の事例、利用上の制限、そして公道への接続による消滅条件までを掘り下げます。さらに、通行地役権についても、その設定と登記の流れ、囲繞地通行権との違いを解説。最後には、通行地役権が取得できない場合の解決方法、隣地の買取、同時売却、土地の等価交換、買取業者への売却についても詳しく説明します。

囲繞地とは何か?

まず、「囲繞地」とはどのような土地かを考えましょう。囲繞地は、他の土地に囲まれて公道に通じない土地、つまり袋地や無接道地を囲んでいる土地です。このような土地には、所有者が公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行する権利があります(囲繞地通行権)。これは、民法第210条に基づく権利で、土地の利用に隣接する土地に影響を与える場合に、最小限度の所有権の行使を制限し、土地利用を調整するための法的措置です。

また、公道とは一般に通行可能な道路を意味し、私道も含まれます。囲繞地通行権は、初めから公道に接していない土地に適用され、隣接土地の所有者はこの通行権を認めなければなりません。

通路が既に存在していても、その幅が狭く土地利用に支障をきたす場合は、囲繞地通行権の考え方を広く解釈し、新たな通路の開設が認められることもあります。このように、囲繞地通行権は、土地の所有者が公道にアクセスするための重要な権利であり、土地利用の調整とバランスを図るための法的枠組みとして機能します。

囲繞地通行権の解説

囲繞地通行権は民法上の権利なので拒否できない!

囲繞地通行権は、ある土地(袋地)が他の土地(囲繞地)、海岸、崖地などに囲まれ、公道に接していない場合に、袋地の所有者が公道まで囲繞地を通行する権利です。この権利は民法上認められており、囲繞地の所有者はこの通行権を拒否することができません。

では、囲繞地通行権がなぜ必要なのか、その背景を詳しく見ていきましょう。袋地は他の土地に囲まれており、公道への直接的なアクセスがないため、日常生活や土地の有効利用に大きな制約が生じます。このような状況において、袋地の所有者は公道にアクセスするために、隣接する囲繞地を通行する必要があります。囲繞地通行権は、袋地の所有者がその土地を適切に利用し、日常生活を営むための基本的な権利を保障するものです。

この権利は民法に基づくものであり、囲繞地の所有者はこの通行権を拒否する法的な根拠がありません。袋地所有者が囲繞地通行権を行使する際は、適切な手続きを踏むことが重要です。通行権の取得要件や登記に関する手続きには、特定の規定や基準があり、これらを遵守することで、囲繞地通行権の適正な利用が可能になります。

囲繞地通行権は、土地の利用と交通の便宜を図るために重要な法的概念です。この権利を理解し、適切に活用することで、土地の有効利用と所有者間の円滑な関係が保たれます。囲繞地通行権に関する理解と適切な手続きは、土地の所有者にとって不可欠な知識となります。

囲繞地通行権の利用には制限がある!

囲繞地通行権は民法上の権利であり、他人の土地を通行する権利を与えますが、無制限に利用できるわけではありません。囲繞地通行権の利用は、いくつかの制限条件があり、これらは法的にも厳格に定められています。主な制限点は次の通りです。

  1. 通行範囲の制限: 囲繞地通行権で認められる通路の幅は「必要最小限の幅」に限られます。これは、公道へのアクセスを可能にする最低限の範囲内で通行権を認めることを意味します。建築基準法の接道義務を満たさない狭い通路も含まれることがあります。
  2. 通行料の発生: 囲繞地通行権の行使には通行料が発生する場合が多いです。この通行料は、囲繞地所有者への償金として、民法第212条に基づいて1年ごとに支払われます。通行料の金額は、袋地所有者と囲繞地所有者間の話し合いで決定されますが、合意に至らない場合は裁判所が決定します。
  3. 自動車の通行制限: 囲繞地通行権では、自動車の通行は基本的に認められません。これは、通路の幅が狭く、自動車事故のリスクが高まることを避けるためです。ただし、特定の状況下では、自動車による通行が認められることもあります。この判断は、土地の状況や所有者間の事情に基づいて行われます。

これらの制限を理解し遵守することは、囲繞地通行権の適切な行使と、土地所有者間のトラブルを避けるために重要です。囲繞地通行権は、公道へのアクセスを提供する重要な権利ですが、その行使には責任と配慮が伴うことを認識する必要があります。

公道への接続と囲繞地通行権の消滅

囲繞地通行権は、自己の土地が他人の土地に囲まれ、公道への直接的なアクセスがない場合に発生する自動的な権利です。この権利は、囲まれた土地(袋地)の所有者が他人の土地を通って公道にアクセスするための法的な手段を提供します。一方、通行地役権は、土地の所有者間の合意に基づいて設定され、他人の土地を通行する権利を指します。

公道への接続が可能になった場合、囲繞地通行権は消滅します。例えば、袋地に新たな通行路が開設されたり、隣接地が公道に接続されたりした場合、囲繞地通行権は必要なくなり、自動的に消滅します。しかし、通行地役権(次章以降で解説します)は合意に基づいて設定されるため、公道への接続が可能になっても、合意が継続していれば消滅しないことがあります。

囲繞地通行権の消滅は、土地の利便性や価値に大きな影響を与えるため、土地取引においてはこの点に注意が必要です。また、通行権に関するトラブルが発生することもありますが、通行権の存続や消滅は、個々のケースに応じた法的判断に基づきます。

通行地役権の解説

通行地役権は、他人の土地を通行するための特別な権利であり、公道に直接接していない土地の所有者が隣接する他人の土地を利用して公道に出るために設けられるものです。この権利は、土地の所有者間での合意に基づいて成立し、その後、登記を行うことで第三者に対しても効力を有します。

通行地役権の内容には、通行路の範囲や通行の条件などが含まれ、これらは当事者間の契約によって具体的に定められます。例えば、通行路の幅や通行可能な時間帯、通行料の支払いなどが契約内容に含まれることがあります。また、この契約には有効期間を設けることが可能で、契約期間が満了すると、通行地役権も同時に終了します。

通行地役権を有する者は、通行のために発生する費用や損害に対して、通行料の支払い義務を負うことが一般的です。この通行料の額は、契約によって決定され、通行地所有者との合意に基づいて支払われます。

重要な点として、通行地役権者が通行権を拒否されることは法的には認められていません。この権利は、土地の所有者間で合意に基づいて設定されるため、一度設定されると、通行地所有者は無理な理由で通行を拒否することができないのです。

通行地役権は、土地の利用やアクセスに関する問題を解決するための重要な手段であり、その特性と運用に関する理解は、土地所有者間のトラブルを未然に防ぐために必要です。特に、通行地役権の設定と運用に際しては、契約内容の明確化と合意形成が鍵となります。

囲繞地通行権と通行地役権の違い

通行地役権は、自己の土地の利便性向上のために他人の土地を通行する権利であり、その内容は土地所有者間の契約によって自由に決定されます。この権利においては、通行範囲、期限、通行料などの条件が当事者間の合意によって設定されます。この柔軟性は、囲繞地通行権と比較すると、明確な違いを示しています。

囲繞地通行権は、自己の土地が他人の土地に囲まれ、公道への出口がない場合に発生する自動的な権利で、特定の条件下でのみ有効です。この権利では、通行のための合意は必要なく、通路の幅は通行に必要な最低限に制限され、使用期限も設定されません。また、囲繞地通行権においては登記は不要ですが、通行料が発生することがあります。

対照的に、通行地役権は、通行範囲や期限、通行料を所有者間の話し合いで決めることができるため、双方にとって納得のいくルールを設定しやすく、トラブルを防ぐ効果が期待できます。ただし、この権利は囲繞地通行権と異なり、民法による直接の認定を受けていないため、第三者に対する権利の主張を可能にするためには登記が必要となります。

次の章では、通行地役権の設定方法や登記の手続きについて詳しく解説していきます。これらの違いを適切に理解し、土地の利用や通行権に関する問題解決に役立てることが重要です。

通行地役権の設定と登記の流れとは

通行地役権の設定と登記の手順は、以下のステップに沿って行います。

  1. 司法書士への相談: 通行地役権の設定を希望する場合、まず司法書士に相談します。通行地役権には登記が必要であり、その手続きは複雑なため、専門家である司法書士の助けを借りることが推奨されます。また、所有者間の交渉においても、司法書士が中立的な立場でサポートを提供できます。
  2. 通行地役権の内容の話し合いと契約書の作成: 所有者間で通行地役権の内容について話し合い、合意に達したら「地役権設定契約書」を作成します。契約書には地役権の目的、通路の場所・幅・長さ、通行料の有無・金額・支払い条件、通行期限などの項目を含めます。これらの項目は当事者間で自由に決定できます。
  3. 登記に必要な書類の準備: 契約が成立したら、登記に必要な書類を準備します。これには、地役権設定契約書、登記識別情報や登記済証、印鑑証明書、地役権図面、委任状(司法書士に依頼する場合)、実印、本人確認書類が含まれます。地役権図面は、管轄登記所で手数料を支払って取得できます。
  4. 通行地役権の登記の実施: 必要書類が揃ったら、司法書士に依頼して通行地役権の登記を行います。地役権設定登記の登録免許税は、承役地ごとに1,500円が必要です。さらに、司法書士報酬も発生するため、全体の費用は約3万円前後が相場となります。

以上の手続きを完了すると、合意した通行条件が法的に効力を持ち、決められたルールに従って通行することが可能になります。このプロセスを適切に進めることで、通行地役権の設定と登記がスムーズに行われ、後のトラブルを防ぐことができます。

囲繞地通行料の発生要件と相場

通行料を設定するためには囲繞地通行権の契約を結ぶ必要がある

囲繞地通行権は、袋地の所有者に対して民法で保障された権利です。ただし、袋地の所有者が囲繞地通行権を行使するには、相応の通行料を支払わなければなりません(民法第212条)。

民法第212条によれば、通行権を有する者は、通行する他の土地に損害を与える場合に償金を支払わなければなりません。ただし、通路の開設によって生じた損害については、一年ごとに償金を支払うことができます。

袋地の所有者が囲繞地を自由に通行すると、囲繞地の所有者の生活に支障をきたしかねます。そのため、事前に以下の内容を含む契約を当事者間で交わす必要があります。

  • 通行料
  • 通行する範囲
  • 通路の位置と幅
  • 通行する時間帯
  • 通行方法

後述の「囲繞地の通行料が無償になるケースもある」でも詳しく解説しますが、通行料を設定する契約書を交わしていない場合、長年にわたって通路を無償で使用していたとしても通行料は発生しません。囲繞地の所有者として袋地の所有者から通行料を受け取りたい場合には、契約書をしっかりと交わすようにするとよいでしょう。

囲繞地の通行料相場の計算方法

囲繞地通行権の契約を交わすにあたって問題となるのが、通行料の金額です。民法では通行料に関する定めがないため、以下の計算方法に基づく金額を参考とし、当事者間で話し合って決める必要があります。

通行料金の計算方法は主に以下の2つです。

  1. 近隣の囲繞地通行料をもとに設定する
  2. 近隣の駐車場料金をもとに設定する

ここでは、囲繞地の通行料相場の計算方法について解説します。ただし、当事者間での話し合いでは金銭トラブルにつながりかねないため、不動産業者や不動産鑑定士などの専門家に相談したうえで通行料を設定することをおすすめします。

方法1近隣の囲繞地通行料をもとに設定する

囲繞地通行料の算定においては、近隣の囲繞地の事例を参考にする方法が一般的です。周辺の囲繞地で設定されている通行料を基にして、双方が合意できる金額を設定することが可能です。これにより、両当事者が納得の上で契約を結ぶことが望めます。

しかし、一般の人々にとって、周辺に存在する袋地や囲繞地を特定し、その通行料を把握することは難しい課題です。また、近隣の囲繞地の所有者に直接通行料について尋ねることは、不審に思われる可能性があり、情報を得ることが困難な場合もあります。

別の選択肢として、不動産鑑定士による土地の査定を依頼し、その結果に基づいて通行料を設定する方法も考えられますが、この方法には約30万円の費用がかかり、査定結果が出るまでに約2週間を要するというデメリットがあります。

コストや時間の面で負担を減らしたい場合は、不動産業者に相談し、周辺の囲繞地通行料の相場情報を得るのが良いでしょう。不動産業者は、その地域の市場状況や相場に精通しているため、実際的かつ合理的な通行料の設定をサポートしてくれます。

方法2近隣の駐車場料金をもとに設定する

周辺に特定の袋地や囲繞地がない場合、近隣の月極駐車場の料金を参考にして囲繞地通行権の通行料を算定する方法があります。一般的に月極駐車場の1台分のスペースは約2.3~2.7メートルの幅で設定されています。この駐車場料金を基に、囲繞地通行権が適用される道路の幅を考慮して通行料を計算することが可能です。

しかしながら、囲繞地通行権の通行料を定める際は、当事者間の合意が必要不可欠です。時には当事者だけで合意に至らない場合もあり、そのような状況では不動産業者などの専門家を交渉の仲介者として利用することが効果的です。不動産のプロフェッショナルの介入により、より公平かつ合理的な通行料の設定が期待できます。このアプローチは、囲繞地通行権に関する合意形成を円滑に進めるための有効な手段となります。

囲繞地の通行料が無償になるケース

これまでに囲繞地通行権の通行料の算定方法について詳述してきましたが、特定の状況下では、袋地の所有者は無償で囲繞地を通行することが可能です。次の4つのケースでは、囲繞地の所有者は袋地の所有者に対して通行料を請求することができません。

  1. 元々、通路を無償で使用していた場合:これは通行地役権の存在を示し、既に確立された無償の通行権があることを意味します。
  2. 分筆や譲渡により袋地が発生した場合:このシナリオでは、民法第213条に基づき、新しく形成された袋地の所有者は囲繞地を無償で通行する権利を持ちます。
  3. 共有物分割により袋地が発生した場合:共有物の分割によって袋地が生じた際も、通行料の徴収は許されません。
  4. 競売によって袋地が発生した場合:競売を通じて袋地が形成された場合も、袋地の所有者には無償で囲繞地を通行する権利があります。

以上の各ケースは、囲繞地通行権と通行地役権に関する重要な例外状況を示しており、これらの状況では通行料を徴収することは法的に許されていません。それぞれのシナリオにおいて、袋地の所有者と囲繞地の所有者の間の法的な権利と義務について、詳細に理解することが重要です。

その1.元々通路を無償で使用していたケース

囲繞地の通路を袋地の所有者がかつて無償で利用しており、その使用を囲繞地の所有者が容認していた場合、これは囲繞地通行権とは別に「無償の通行地役権」が存在すると見なされます。通行地役権は、自分の土地の利便性向上のために他人の土地を通行する権利で、民法に定められた物権の一つです。この権利は土地に付随し、袋地が相続された際も継承され、新しい所有者も囲繞地の通路を無償で利用し続けることができます。

囲繞地通行権と通行地役権の違いについては、合意の有無、通路の幅、使用期間、登記の必要性、通行料の有無などが主な差異点です。囲繞地通行権は囲繞地所有者の同意不要で、通路の幅は2m以下、使用期間無制限、登記不要、通行料が発生することがあります。一方で通行地役権は当事者間の合意が必要で、通路の幅は自由に設定可能、使用期間も自由に決められ、登記を行うことで第三者に対する権利主張が可能となり、通行料も話し合いで決定されます。これらの特徴は、囲繞地の利用における法的な枠組みを理解する上で重要です。

その2.分筆や譲渡により袋地が発生した場合

公道に接していた土地が分筆や譲渡により袋地に変わるケースがあります。この分筆は、一つの土地を複数に分割し、それぞれを別々に登記する行為を指します。このような状況下で、囲繞地の所有者となった人は、袋地の所有者に対して通行料の請求を行うことはできません。民法第213条には、分筆により公道に通じなくなった土地の所有者は、他の分割者の土地を通って公道に至ることができ、この場合通行料の支払いは必要ないと明記されています。また、この規定は土地の一部を譲渡した場合にも適用されます。この条文に基づき、袋地の所有者は囲繞地を通行する際に通行料を支払う必要がないことが法的に保証されています。

その3共有物分割により袋地が発生した場合

共有物分割における不動産の場合、複数の共有者が持つ土地を分筆やその他の方法で物理的に分割し、各共有者が個別に所有することになります。特に、土地が一方向のみ公道に接している状況では、分割の方法によっては袋地が発生する可能性があります。このような場合においても、前述の「分筆や譲渡により袋地が発生した場合」と同じく、囲繞地の所有者は袋地の所有者に対して通行料を請求することはできません。これは、分割によって公道に通じない土地が生じた際、その土地の所有者が他の分割者の所有地を通行する権利があり、その場合に通行料を支払う必要がないと民法が定めているためです。この規定により、袋地の所有者は囲繞地を通行する際に通行料を支払う義務がなく、法的に保護された通行の権利を持ちます。

競売によって袋地が発生した場合

数筆の土地を所有している際、一部が競売にかけられることによって袋地が発生することがあります。しかし、この場合においても、民法第213条第2項に基づく囲繞地通行権が適用されるため、袋地の所有者は囲繞地の新しい所有者に対して通行料を支払う必要はありません。この法条は、分筆や譲渡による袋地の発生と同様に適用され、袋地の所有者が囲繞地を通行する際の権利を保護します。最高裁判所の平成5年12月17日の判決でも、この点が確認されています。この規定により、袋地が競売を通じて発生した場合でも、袋地の所有者は囲繞地を通行する際に追加の費用負担を求められることはありません。

 最高裁判所平成5年12月17日判決

通行地役権が取得できない場合。囲繞地通行権のトラブルの解決方法紹介

通行地役権の設定が難しい場合でも、袋地所有者と囲繞地所有者が納得できる解決策は存在します。以下は、通行地役権を設定できない際に検討できる囲繞地通行権のトラブル解消方法です。

  1. 隣地の買取: 囲繞地または袋地のいずれかを買い取ることで、土地の配置を変更し、通行問題を解決する方法です。これにより、囲繞地通行権に関する問題が根本から解消されます。
  2. 囲繞地と袋地の同時売却: 囲繞地と袋地を同時に売却することで、新しい所有者が通行問題を解決する機会を持つことができます。この方法は、両地を所有する利益を求める買主にとって魅力的な選択肢となる可能性があります。
  3. 土地の等価交換: 囲繞地の通路部分と袋地の余剰土地を等価交換することで、通行問題を解決する方法です。この交換により、袋地所有者は通行権を確保し、囲繞地所有者は土地の利用価値を維持することができます。
  4. 買取業者への売却: 囲繞地または袋地を買取業者に売却することも、トラブル解決の一つの方法です。買取業者が新しい所有者となり、通行権の問題を解決する可能性があります。

これらの方法を通じて、通行地役権の設定が困難な場合でも、囲繞地通行権の問題を解決することが可能です。それぞれの方法の実行可能性は、具体的な土地の状況や所有者間の合意に依存するため、各ケースに応じた検討が必要です。

解決法その1隣地の買取

隣地の買取は、囲繞地通行権に関連するトラブルを解消する効果的な方法の一つです。このアプローチでは、以下のように隣地(囲繞地または袋地)の購入を通じて、通行権問題を根本的に解決します。

  1. 囲繞地または袋地の購入: 袋地所有者が隣接する囲繞地を購入することで、公道への接道義務が満たされ、囲繞地通行権が必要なくなります。これにより、元の袋地と囲繞地を一体化し、通行権の問題を解消します。
  2. 土地(通路部分)の購入と「旗竿地」の形成: 袋地所有者が囲繞地通行権が設定されていた通路部分を買い取ることで、その土地を「旗竿地」として再構築します。この方法では、通路の幅を2メートルに設定することで、接道義務を満たし、建築可能な土地とすることが可能です。

このような手法は、袋地と囲繞地の両方にとって有益な解決策となる可能性があります。しかしながら、この方法は、十分な資金力があることが前提であり、また隣地所有者の同意も必要となります。したがって、資金の制限や隣地所有者の合意が得られない場合、この解決策の実行は困難になる可能性があります。

これらの点を考慮しながら、囲繞地通行権に関連する問題に対処する際は、隣地の買取を検討することが重要です。購入に向けての交渉や合意形成のプロセスは複雑になることもありますが、土地の所有権が変更されることで、通行権に関する問題を永続的に解決することが可能となります。

解決法その2囲繞地と袋地の同時売却

囲繞地と袋地を同時に売却することは、囲繞地通行権に関する問題を解決するもう一つの有効な手段です。この方法では、以下のように袋地と囲繞地を一括して売却し、通行権問題を根本から解消します。

  1. 袋地と囲繞地の同時売却: 袋地所有者と囲繞地所有者がそれぞれの土地を同時に売却することで、新しい所有者による土地の一体化が可能となります。このプロセスでは、両者が一人の買い手に対して売買契約を結びます。
  2. 合筆による土地の統合: 売買契約成立後、新しい所有者は袋地と囲繞地を法的に一つの土地に合筆します。合筆とは、隣接する複数の土地を一筆の土地に合体させる法的手続きです。これにより、土地は一つの物件として扱われ、接道義務が満たされるため、囲繞地通行権は消滅します。
  3. 通行権の消滅と利益の享受: 合筆により、新しい所有者は接道義務を満たす一体化された土地を手に入れることができ、囲繞地通行権の問題は解決されます。同時に、袋地所有者と囲繞地所有者は通行権の問題から解放されます。

ただし、この方法は理論上可能であっても、実際には実現が難しい場合が多いです。袋地と囲繞地の所有者が共に売却に同意し、適切な買い手を見つける必要があります。実際には、一方の所有者が売却を希望しない場合や、市場状況によっては適切な買い手が見つからないこともあります。

この方法を採用する際は、売却の意向、市場条件、適切な買い手の存在など、複数の要因を慎重に検討する必要があります。囲繞地通行権に関するトラブルを解決するためには、所有者間の合意形成と市場の動向を考慮することが重要です。

解決法その3土地の等価交換

囲繞地通行権に関するトラブルを解消する一つの方法として、「土地の等価交換」があります。この方法は、囲繞地の通路部分と袋地の余剰部分を交換することによって、囲繞地通行権を解消することを目指します。

  1. 等価交換のプロセス: 囲繞地の通路部分と袋地の未使用部分を交換することで、袋地は公道への接道義務を満たす「旗竿地」となり、囲繞地通行権は消滅します。このプロセスは、両方の土地所有者にとって利益のある解決策となる可能性があります。
  2. 土地の条件と交換の可否: しかし、この方法は土地の条件によっては実現不可能な場合があります。例えば、土地が狭いなどの理由で、隣地に差し出せる部分が存在しない場合、等価交換は成立しません。
  3. 隣人との交渉の重要性: さらに、等価交換を行うには隣地所有者との交渉が必須です。隣地所有者が土地交換に同意する必要があり、実際には交換に同意する隣人を見つけることが難しい場合もあります。

等価交換は、土地の状態や隣地所有者の意向を十分に考慮し、双方にとって有益な解決策が見出せる場合にのみ検討する方法です。実際には実現可能性が低い場合もありますが、条件が整っていれば囲繞地通行権に関する問題を効果的に解決する手段となりえます。

この方法を選択する際は、土地の実情、隣人との関係、さらには土地の価値や将来性などを総合的に評価し、双方が納得できる解決策を見つけることが重要です。

解決法その4買取業者への売却

囲繞地通行権の問題を解決する一つの方法として、専門の買取業者への土地売却があります。このアプローチでは、囲繞地または袋地の所有者が土地を専門の買取業者に直接売却し、通行権に関連する問題を委ねることが可能です。

  1. 専門業者への売却の利点: 囲繞地や袋地を専門の買取業者に売却すると、その土地の所有権が買取業者に移行します。これにより、元の土地所有者は囲繞地通行権に関連する問題から解放され、それらの問題は新しい所有者である買取業者が引き受けることになります。
  2. トラブルの「代行」解決: 買取業者は、囲繞地通行権を含む土地に関する複雑な問題を解決する専門知識と経験を持っています。彼らは隣地との交渉を含む必要な手続きを代行し、問題を解決する能力を持っているため、元の土地所有者はこのプロセスに関与する必要がありません。
  3. 買取業者による収益化の可能性: さらに、買取業者は、隣地を買い取るなどの手段を用いて、囲繞地や袋地を再構築し、収益化する能力を持っています。彼らは訳あり物件を専門に扱うため、困難な土地の状況でも価値を見出し、利益を生み出すことができます。

この方法は、土地所有者にとって囲繞地通行権に関連する問題を解決する際に、ストレスのない解決策を提供します。ただし、買取業者との契約を検討する際には、買取価格や契約条件を注意深く考え、適切な判断をすることが非常に重要です。

泉俊佑

Sity LLC 代表の泉俊佑です。同社は空き家や事故物件などの売れにくい不動産の買取再販を行う不動産業者です。同社が運営しているサービスサイトである「瑕疵プロパティ買取ドットコム(瑕疵プロ)」の運営者も務めています。宅地建物取引士。

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