共有名義の抵当権の抹消手続きの方法と必要書類|分かりやすく解説!

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共有名義の不動産に設定された抵当権を抹消する手続きは、住宅ローン完済後に行う重要なプロセスです。この記事では、共有名義不動産の抵当権抹消に関する方法と必要書類を分かりやすく解説します。抵当権の基本、共有者全員または持分のみに設定された抵当権の取り扱い、非協力的な共有者への対処法、さらに抵当権抹消登記に関連する費用や必要資料について詳しく説明していきます。不動産売却時の制限、手続きの複雑さ、相続人が直面するトラブルの可能性など、抵当権抹消に関連する重要な情報を網羅的に提供します。

抵当権の抹消とは

抵当権抹消とは、ローンが完済されたり、ローン契約が解除されたりした際に、不動産登記簿に記録されている「抵当権」を取り消す登記手続きのことです。この抵当権は、住宅取得などを目的としたローンを借りる際、債務者が返済不能になった場合に備えて、金融機関が設定する担保の権利です。もし債務者がローンの返済を滞らせると、金融機関は抵当権を行使し、該当物件を競売にかけて、その収益でローン残高を回収することができます。

重要な点は、ローンを完済したとしても、抵当権は自動的に登記簿から消えるわけではないということです。したがって、ローンの全額返済後には、債務者と金融機関(抵当権者)が共同で行う抵当権抹消登記が必要となります。これにより、正式に不動産登記簿から抵当権の記載を消去することができます。

共有名義不動産の抵当権抹消

共有名義の不動産における抵当権の抹消手続きを解説します。抵当権の設定の範囲によって手続きが異なります。

共有者全員で不動産全体に設定した抵当権

共有名義の不動産で全共有者が設定した抵当権については、民法の規定に基づき、どの共有者も単独で抵当権抹消登記の申請が可能です。ただし、これには債権者(例えばC銀行)との共同申請が必要となります。

例えば、共有者AとBがC銀行からのローンで抵当権を設定している場合、「AとC銀行」あるいは「BとC銀行」のどちらかの組み合わせで抵当権抹消登記が行えます。ただし、この手続きを司法書士に依頼する際は、共有者全員の意向を反映させる必要があるため、実務上は他の共有者の同意がなければ登記申請が難しくなるケースが一般的です。このようなケースでは、共有者間の事前の合意形成が重要となります。参照元は民法第252条の但書です。

共有者の持分のみに設定した抵当権

共有名義不動産において、ある共有者が自己の持分に限定して設定した抵当権については、その持分に関わらない他の共有者による抵当権抹消の申請はできません。

例えば、共有者AとBが共有する不動産において、Aの持分のみにC銀行が抵当権を設定している場合、Bは抵当権の抹消登記を申請することができません。このような状況では、抵当権の抹消はAとC銀行の共同申請によってのみ行うことができます。この規定は、共有名義不動産における各持分の法的独立性を保護し、特定の共有者に限定された債務関係の処理を容易にすることを目的としています。

共有者が非協力的な場合の対処法

共有名義の不動産に関して、他の共有者が抵当権の抹消登記に協力しない場合、本人が単独で直接申請する方法が有効です。通常、司法書士を介して手続きを進める際には、共有者全員の意思確認が求められるため、他の共有者の協力が必須となります。しかし、個人が自ら申請を行う場合、他の共有者の関与は必要ありません。法律上、共有名義の不動産全体に設定されている抵当権でも、共有者の一人だけで抹消登記を行うことは可能です。この方法は、共有者間の意見の対立や協力の得られない状況において、抵当権抹消手続きを進めるための実用的な解決策となります。

抵当権の抹消は住宅ローン完済時に直ちに行うべき

ローン完済後にも抵当権が不動産登記簿に残ることは、前述の通りです。このため、ローン完済直後に抵当権の抹消手続きを行うことが非常に重要です。

ローン完済後でも抵当権が残っている状態には、様々なリスクが伴います。一見、完済していれば差し押さえのリスクはないように思えますが、実際には以下のような問題が発生する可能性があります:

  1. 不動産の売却が困難になる: 抵当権が残っている不動産は、その権利関係が複雑になり、売却時に支障をきたすことがあります。
  2. 抹消登記が時間経過と共に複雑になる: 時間が経過するほど、抵当権の抹消に必要な書類の入手や手続きが困難になる場合があります。
  3. 相続人がトラブルに巻き込まれる可能性: 抵当権が残ったままの不動産が相続されると、相続人が不明確な権利関係の解決に迫られることになります。

これらのリスクを避けるためにも、ローン完済後はできるだけ早く抵当権抹消手続きを行うことが推奨されます。これにより、不動産の清潔な権利状況を維持し、将来的な問題を回避することが可能となります。

不動産の売却に制限がある

抵当権が登記簿上に残っている限り、その不動産の売却は困難です。抵当権が存在する不動産は、購入希望者にとってリスクが高く見なされるため、売却が難しくなるのです。買い手は、万が一以前の債務者が債務不履行に陥った場合、自身が所有する不動産が競売にかけられるリスクを恐れます。

たとえ売り手が「ローンは完済済みで安全」と主張しても、買い手はこのような不確実性を含む取引に通常は消極的です。さらに、時間が経過するほど抵当権抹消の手続きは複雑化し、急な売却の必要が生じた際にスムーズな売却プロセスが妨げられる可能性が高まります。これらの問題を避けるためにも、ローン完済後はできるだけ早く抵当権の抹消手続きを行うことが強く推奨されます。

手続きが複雑になることも

ローンの完済後に時間が経過すると、抵当権の抹消手続きは複雑化する可能性があります。この複雑化の主な理由は二つあります。

  1. 必要書類の紛失:ローン完済後に金融機関から渡される「抵当権抹消書類一式」は、抹消登記に必須ですが、時間が経つと紛失するリスクが高まります。紛失した場合、再発行には一ヶ月から半年程度の時間と追加の手数料が必要です。金融機関は過去の債権情報を再調査する必要があるため、このプロセスは時間がかかることが一般的です。
  2. 金融機関の合併や倒産:金融機関の合併や倒産により、抵当権者が変更になる場合、通常の書類以外に追加の書類が必要になります。合併や倒産によって記録が変わると、抵当権抹消までの手続きに必要な書類が増え、プロセスがより複雑になります。

これらの理由から、ローン完済後は可能な限り早めに抵当権の抹消手続きを進めることが推奨されます。これにより、時間経過による書類の紛失リスクや金融機関の状況変化による手続きの複雑化を避けることができます。

相続人が将来トラブルに巻き込まれる可能性

抵当権が登記簿上に残ったまま債務者が亡くなると、相続人が法的なトラブルに巻き込まれるリスクが高まります。不動産の相続を考える際、相続人は抵当権の存在とローンの残債の有無を確認し、それに基づいて相続の判断を下さなければなりません。相続登記完了後には、抵当権の抹消登記を行う必要があります。

被相続人(故人)の自宅で必要書類を探し、もしそれが見つからない場合は再発行手続きを進めることが必要です。特に、抵当権者が個人の場合、問題はより複雑になります。その抵当権者が既に亡くなっている可能性があり、その場合は、登記申請に必要な弁済証書や解除証書を得るために、抵当権者の相続人を探し出す作業が必要になります。

例えば、明治時代や大正時代に設定された古い抵当権が今でも残っており、これを抹消するためには、当事者の調査や交渉に加えて訴訟を起こす必要があることもあります。これにより、抵当権抹消のための弁護士費用が100万円を超える場合もあります。このような状況を避けるためにも、ローン完済後はできるだけ速やかに抵当権の抹消手続きを行うことが重要です。

抵当権抹消登記費用と必要資料

抵当権抹消登記にかかる費用と必要な資料について、以下の5点で詳しく解説します。

  1. 抵当権抹消の登録免許税:抵当権を抹消する際には、登録免許税が発生します。この税額は不動産の価値によって異なります。
  2. 住所変更がある場合の登録免許税:住所変更が伴う場合は、それに関連する登録免許税が別途必要になることがあります。
  3. 不動産所有者が他界している場合:所有者が亡くなっている場合、相続関係の証明書や遺産分割協議書など、追加の書類が必要になることがあります。
  4. 司法書士に依頼した場合:全ての手続きを司法書士に依頼する場合、その手数料として一定の費用が必要です。司法書士に依頼することで手続きがスムーズに進む利点があります

抵当権抹消の登録免許税

抵当権抹消登記に必要な費用と資料について以下に詳しく解説します。

  1. 登録免許税:抵当権抹消の際、不動産ごとに登録免許税が必要です。この税は一般的に「不動産1個につき1,000円」となります。例えば、2筆の土地と1個の建物に抵当権が設定されている場合、合計3,000円の登録免許税が必要です。20個以上の不動産を一度に抹消する場合、一律20,000円の登録免許税がかかります。
  2. 必要書類:抵当権抹消のために必要な書類には以下が含まれます。
    • 抵当権抹消登記申請書:法務局のウェブサイトからダウンロード可能。
    • 委任状:司法書士への委任がある場合。司法書士が代理人となると、申請書の記載も彼らが行います。
    • 抵当権抹消書類一式:銀行から受領。これには抵当権設定契約書、抵当権設定登記済証、登記識別情報通知書、抵当権解除証書、弁済証書などが含まれます。
    • 代表者事項証明書:有効期限内のもの。
  3. マンションの抵当権抹消:マンションの場合、抵当権抹消費用は通常、土地と建物の2つの不動産分、つまり2,000円が必要です。マンションでは、土地の所有権が敷地権化されているため、土地の謄本では自分の名前は出てきません。敷地権化は、土地と建物を分離して売却できないようにする登記方法です。そのため、マンションの抵当権を抹消する際には、土地の抵当権も抹消する必要があります。

注意:土地が複数筆に分かれているマンションや、集会場を共有で保有している場合は、それぞれの共有持分に抵当権が設定されているため、抵当権抹消費用は不動産の数に応じて増加します。

住所変更がある場合発生する登録免許税

不動産所有者の住所が変更されている場合、抵当権抹消登記の前に住所変更登記が必要になります。この住所変更のための登録免許税は、「不動産1個につき1,000円」と設定されています。住所変更登記と抵当権抹消登記の手続きは、司法書士に依頼することで、同時に行うことが可能です。

住所変更登記に必要な書類は以下のとおりです:

  • 登記名義人住所・氏名変更登記申請書:法務局のウェブサイトからダウンロードできます。
  • 委任状:司法書士に依頼する場合に必要です。
  • 住民票:現住所を証明するために必要です。
  • 戸籍附票:複数回引っ越しを行っている場合に必要です。

これらの書類の取得には一定の費用がかかります。通常、住民票や戸籍附票の取得費用は、1通あたり300円が標準です。

これらの手続きを適切に行うことで、所有者の住所変更および抵当権抹消登記がスムーズに進行します。

不動産所有者が他界している場合

不動産所有者が亡くなっている場合、抵当権抹消の前に相続による所有権の名義変更手続きが必要になります。この名義変更に伴う登録免許税は、固定資産税評価額の0.4%として計算されます。

法定相続によって所有権が移転する場合、以下の書類が必要です:

  1. 被相続人の戸籍謄本または除籍謄本:被相続人の10歳前後から死亡に至るまでの継続した全ての記録が必要です。戸籍謄本の費用は1通450円、除籍謄本は1通750円が標準です。
  2. 被相続人の除住民票:1通300円。
  3. 相続人全員の戸籍謄本:相続人の戸籍を証明するために必要で、1通450円が標準です。
  4. 相続人全員の住民票:1通300円。
  5. 固定資産税評価証明書:不動産の価値を証明するために必要で、1通300円~400円が標準です。

これらの書類を揃え、適切に手続きを行うことで、名義変更とその後の抵当権の抹消登記を円滑に進めることが可能です。これにより、不動産が次の所有者に適切に引き継がれることが保証されます。

司法書士に依頼した場合

司法書士に依頼した場合は、司法書士手数料が生じます。
抵当権抹消登記費用の司法書士手数料の相場は16,000円程度です。

泉俊佑

Sity,Inc.代表の泉俊佑です。同社は空き家や事故物件などの売れにくい不動産の買取再販を行う不動産業者です。同社が運営しているサービスサイトである「瑕疵プロパティ買取ドットコム(瑕疵プロ)」の運営者も務めています。宅地建物取引士。

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