夫婦の持ち家に対する権利や名義を変更する場合の方法を解説します!

共有名義不動産

夫婦の持ち家に関する名義変更は、婚姻中から離婚、そして夫の死後まで、様々な状況で必要となることがあります。このガイドでは、夫名義の不動産における妻の権利、共有名義の場合の権利関係、離婚や死別時の名義変更プロセス、税金の問題、さらには贈与や財産分与による名義変更の際の注意点などを解説します。また、よくある質問にも答え、名義変更に関連する複雑な問題を明確にします。

夫名義の不動産における妻の権利について

夫婦の間で夫名義の家に対する妻の権利は、婚姻を継続している場合と離婚した場合で異なります。

婚姻継続中は権利がどうなっているか

婚姻を継続している間、夫名義の家であっても、妻は民法第752条に基づく「占有権原」という権利を有しています。この占有権原は、夫婦間に無償での使用貸借関係が存在するとみなされることを意味し、その結果、夫からの突然の明け渡し要求に対して、妻は従う必要がありません。また、この関係は無償であるため、夫から妻に対する賃料請求も不可能です。

占有権原は、たとえ夫婦が別居していたとしても、または夫婦生活が実質的に破綻していたとしても適用されます。これは、離婚が成立していない限り、妻が住宅に住み続ける権利を保持していることを意味します。しかし、妻が夫に対して暴力行為(DV)を行っているなど、特別な事情が存在する場合には、婚姻継続中であっても住宅の明け渡しが求められる可能性があります。

離婚すると権利はどうなるか

離婚によって夫婦間の扶助協力義務が終了し、それに伴い使用貸借関係も終了すると一般に考えられています。この変化は、妻が夫名義の自宅を占有する権利を失うことを意味し、原則として退去が必要になります。しかし、結婚中に購入された不動産は夫婦共有の財産と見なされ、離婚に際しての財産分与が行われるまでは、妻の占有権原が継続するという見解が広く受け入れられています。

財産分与では、妻は通常、不動産に対して半分の権利を持つことが認められますが、具体的な分割比率は夫婦の状況に応じて変動することがあります。そのため、以下の3つの選択肢から適切な方法を選択することが推奨されます。

  1. 自宅を売却し、売却金を平等に分割する。
  2. 夫が自宅に住み続け、妻に対して代償金を支払う。
  3. 妻が自宅に住み続け、夫に対して代償金を支払う。

夫婦が自宅の売却に同意した場合、売却収益は通常、等分に分けられます。一方で、どちらかが自宅に住み続ける選択をする場合は、その人が不動産の現在の市場価値に基づいた半分の額を相手方に支払う必要が生じます。この過程において、公平性と透明性を保つための適切な評価と合意が重要となります。

仮に共有名義の場合には権利関係はどうなるか

夫婦が家を共有名義で所有する場合、財産分与の過程は特に複雑になりがちです。特に、ローンがまだ残っている共有名義の家の場合、夫婦は通常、ペアローンの形で共同債務者になるか、一方がもう一方の連帯債務者または連帯保証人として金融機関に対して責任を負います。このような状況では、債務者本人、連帯債務者、連帯保証人のいずれであっても、金融機関との契約から簡単に離れることは難しいです。

離婚が債権債務の関係を直接変更するわけではないため、離婚によって自動的に連帯保証人の立場から解放されるわけではありません。連帯保証人を解除するには、別の保証(新たな連帯保証人の提供や土地などの別の担保の提供)を用意するか、金融機関の融資条件に従えない場合は不動産を売却する必要があります。

不動産の所有権をどちらか一方に移したいのか、全体を売却したいのか、または名義を一本化する場合には債務の変更が必要かどうかを含め、具体的な手続きは状況に応じて大きく異なります。財産分与をどのように行いたいのか、登記手続きを含めた具体的なプロセスを検討する際には、初期段階で弁護士や司法書士に相談し、最終的には金融機関の同意を得て進める必要があります。

離婚すると具体的にどうなるか

夫の名義の家に住み続けることはリスクが大きい

離婚後に夫名義の家に住み続けることは、多くのリスクを伴うため、避けた方が賢明です。その理由は、自宅の実質的な所有者である夫の決定により、妻の居住状況が不安定になる可能性があるからです。離婚協議で「妻が引き続き住む」と合意しても、所有者の夫が自宅を売却することを選択した場合、妻はそれに従わざるを得ません。これは、離婚により妻が享受していた占有権原が失効するためです。

さらに、たとえ離婚後も夫婦間で比較的良好な関係が保たれていたとしても、家の老朽化や経済的な困難が生じた場合、夫から売却の提案がなされる可能性があります。夫が再婚すると、新たな配偶者が不動産に対して権利を主張することも想定されます。

これらのリスクを避けるため、妻が自宅に引き続き住むことが望ましい場合は、離婚後速やかに名義変更の手続きを行うことが重要です。夫が名義変更に応じない場合は、法的措置を含めた別の解決策を検討することが推奨されます。

夫名義のローン残債がある場合は必ず金融機関に相談を

夫から妻への家の移譲を慰謝料の代わりとして考え、住宅ローンの支払いを夫が引き続き行う場合は、金融機関の規定に注意が必要です。夫名義で住宅ローンの残債がある場合、妻がその家に住むことを前提とした離婚協議をする前に、必ず関連する金融機関に相談することが重要です。

多くの住宅ローン契約では、「ローンを組んだ本人がその住宅に居住すること」が契約の前提条件となっています。このため、離婚により契約者が住宅から離れることが金融機関に知られた場合、優遇金利の取消しやその他のペナルティが適用されるリスクがあります。さらに、契約違反とみなされた場合、最悪のシナリオとしてローンの残債に対する一括返済の要求がなされることも考えられます。そして、夫がローンを完済するまでの支払いを続ける保証は、法的には存在しません。

夫名義の住宅ローンが残っている家に関する離婚後の適切な対処法について、後ほど詳細をご案内します。この段階で金融機関との相談を通じて、可能な選択肢を検討し、適切な手続きを進めることが、将来的な問題を回避するために不可欠です。

財産分与は不動産取得税や贈与税はかからない

離婚に伴う財産分与では、一般的に考慮する必要がある税金にはいくつか種類がありますが、財産分与特有の税金免除が適用される点が重要です。具体的には、以下の税金が通常の不動産取引に関連します。

  • 登録免許税:所有権移転登記に伴う税金
  • 固定資産税および都市計画税:毎年1月1日時点での不動産所有者に課される地方税
  • 譲渡所得税:不動産の譲渡による所得にかかる税金
  • 贈与税:不動産を贈与された際にかかる税金
  • 不動産取得税:新たに不動産を取得した際にかかる税金

財産分与の過程で発生するのは、登録免許税と固定資産税のみです。これは、財産分与が所有権の移転と不動産の新たな所有者に対する課税を伴うからです。固定資産税は所有権移転後も毎年課されるため、その支払い義務に留意する必要があります。

譲渡所得税は原則として財産を分与する側(この場合は夫)の負担となりますが、離婚による財産分与では特に妻には関係がなく、離婚後に不動産を売却する場合に特別控除の適用により影響が軽減される可能性があります。また、財産分与においては、贈与税と不動産取得税は免除されます。これは、夫婦間での共有財産を公平に分配する行為とみなされるためです。

ただし、分配比率が一方に偏りすぎている場合や、偽装離婚と見なされる状況では、税金が課税されるリスクがあるため、財産分与を行う前に税理士や弁護士などの専門家に相談することが推奨されます。

離婚時の名義の変更手続き

離婚を経て夫から妻へ不動産の財産分与が行われる場合、名義変更の手続きは以下のステップに従います。

  1. 財産分与協議の契約書化: 財産分与の詳細を含む契約書を作成します。この契約書は法務局での名義変更登記に必要となるため、作成過程で司法書士の相談を推奨します。
  2. 必要書類の準備: 名義変更の登記には、以下の書類が必要です。
    • 登記時の識別情報通知または権利証(夫名義)
    • 夫の最新の印鑑証明書(取得から3ヶ月以内)
    • 司法書士への委任状(夫の実印が必要)
    • 妻の最新の住民票
    • 司法書士への委任状(妻の認印が必要)
    • 最新の固定資産税評価証明書または納税通知書

追加事項として、夫の住民票が移動済み、妻が氏名変更をしている場合や、財産分与の日付が離婚届提出日より前である場合には、追加で必要になる書類や登記が必要となる場合があります。これらの状況に備えて、司法書士からのアドバイスに基づき準備を進めることが重要です。

離婚後に書類を集めるのが困難になることを避けるため、お互いに連絡が取れる間に、必要なすべての書類を揃えておくことが望ましいです。

役所へ離婚届を提出と登記申請

離婚に伴う手続きとして、まずは必要な書類を揃えた後、役所へ離婚届を提出します。離婚が正式に成立した後、財産分与に基づく不動産の名義変更登記を進めることができます。この段階で、所有権移転登記の申請を行うために司法書士への依頼が一般的です。

「財産分与」を理由とした所有権移転登記は、離婚届の提出が完了した後にのみ実施可能です。もし夫の印鑑証明書を既に取得している場合は、この証明書が登記手続きにおいて3ヶ月の有効期限を持つことを意識し、離婚届提出後は速やかに登記手続きに移る必要があります。これにより、離婚後の不動産の名義変更をスムーズに行うことができます。

夫が亡くなった場合にはどうなるか

相続による夫から妻への名義変更

夫が亡くなった場合、その遺産は法的に相続人によって相続されます。もし遺言で家の相続が妻に指定されているか、遺産分割協議によって妻が家を相続することが決定した場合、相続登記を行い、不動産の名義を妻に変更する必要があります。

相続登記は令和6年4月から義務化されており、相続発生から3年以内に完了させなければならないルールが設けられました。この義務化の詳細については、専門の法律事務所やサポートサービスが詳しく解説しています。

相続の際、家を直接子供に名義変更することも選択肢の一つですが、その場合、将来的にさらなる名義変更が必要になる可能性がある点を考慮する必要があります。例えば、家を相続した子供が母親より先に亡くなった場合、その子供の配偶者や子供(孫)が次の相続人となり、家を売却するなどの決定を下す可能性があります。

相続時のリスクを避けるため、配偶者居住権という新たな制度が導入されました。これにより、生存している配偶者が亡くなるまでその住宅に住み続ける権利を保証することが可能になり、将来的な不安を軽減できます。このように、相続に関する対策を講じることで、家族の安心を確保することが重要です。

配偶者居住権とは?

配偶者居住権は、夫婦の一方が亡くなった際に残された配偶者が、故人が所有していた住宅に無償で居住し続けることができる権利を指します。この権利により、例えば夫が亡くなった場合でも、妻は自身が亡くなるまで、または定められた期間、その家に無償で住み続けることが可能です。

遺産分割協議や遺言によって設定される配偶者居住権は、不動産の名義が例えば故人の長男に移ったとしても、残された妻にとって家に住み続ける保証を提供します。この権利を遺産分割時に設定することで、故人の意志に沿った配偶者の保護が可能になります。

配偶者居住権の存在を第三者にも明確にするためには、この権利の登記が重要です。登記を行うことで、家の法的な取引や将来にわたる保護において、配偶者居住権が確実に守られます。このプロセスを通じて、残された配偶者の住宅に対する安定した権利が保障され、将来への不安を軽減することができます。

相続登記の手続き

夫が亡くなり妻がその不動産を相続する場合、相続登記の手続きは通常、妻によって単独で行われます。ただし、遺産分割協議に基づく相続の場合、相続人全員の合意が形式化された遺産分割協議書が必要となり、この書類には全相続人の実印の押印と印鑑証明書の添付が求められます。相続登記に要する主要な書類は以下の通りです:

  • 遺産分割協議による相続の場合:
    • 戸籍謄本(夫の出生から死亡までの記録と、相続人全員の現在の記録が含まれるもの)または法定相続情報一覧図
    • 遺産分割協議書(全法定相続人の実印押印と印鑑証明書付き)
    • 相続する妻の住民票
    • 固定資産評価証明書等、不動産の評価額を示す書類
  • 遺言による相続の場合:
    • 夫と妻の戸籍謄本
    • 遺言書
    • 相続する妻の住民票
    • 固定資産評価証明書等、不動産の評価額を示す書類

さらに、夫名義の権利証や除票など、ケースによっては追加の書類が必要になる場合もあります。相続登記は、故人の財産を正式に相続人に移転する重要な手続きであるため、適切な書類の準備と正確な手続きが必須です。

相続したときの税金

夫が亡くなり、妻がその家を相続する場合に必要となる税金には、不動産の名義変更登記時に発生する登録免許税が含まれます。この税金は、不動産の固定資産評価額に基づき、その千分の四の率で計算されます。

不動産などの価値の高い財産を相続する際、多くの人が相続税の負担について懸念を抱くものです。しかし、相続税は個々の財産を対象としたものではなく、相続される財産全体の価値に基づいて算出されます。

相続税の課税は、相続財産の総額が「基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人数)」を超えた場合にのみ適用されます。また、配偶者によって相続される財産には、法定相続分あるいは最大で1億6千万円までの部分が相続税から免除される特例があります。

相続税に関連して負担が予測される場合、我々は専門知識を持つ税理士事務所を紹介し、適切な相談支援を行っています。このようなサポートを通じて、相続税の計算や申告に関する適切な手続きをサポートし、相続人の負担軽減を目指します。

贈与による名義変更のとき

贈与は、一方の当事者が他方に財産を無償で移転する行為を指します。このプロセスにおいて、夫が妻に家を贈与する場合、それに伴い不動産の名義変更の登記が必要になります。

夫が生前に妻のために家の名義変更を考えるケースもあります。これは、夫が亡くなった後も妻がその家に住み続けられるようにするための一つの方法です。しかし、贈与には税金の問題が密接に関わってくるため、税理士との相談を通じて、相続対策として実行するのが望ましいです。

ただし、相続以外の目的で贈与を検討している場合、生前に不動産の名義を変更する必要性について再検討することが推奨されます。実際には、多くの場合、慎重に考慮した結果、すぐに行動を起こすのではなく、現状維持を選択することが多いです。

贈与した時の税金

贈与税は贈与を受けた側、この場合は妻に課される税金です。夫から妻への家の贈与が行われると、妻は贈与税の支払い義務が生じます。多くの方が贈与税の額について軽視しがちですが、実際には無視できない額になる可能性があります。

1年間に受け取る贈与の総額から110万円の基礎控除を除いた金額に対して贈与税が課税されます。贈与税の税率は、課税価額に応じて変動し、以下の通りです。

  • 200万円以下:10%
  • 300万円以下:15%(10万円控除)
  • 400万円以下:20%(25万円控除)
  • 600万円以下:30%(65万円控除)
  • 1000万円以下:40%(125万円控除)
  • 1500万円以下:45%(175万円控除)
  • 3000万円以下:50%(250万円控除)
  • 3000万円超:55%(400万円控除)

例えば、評価額1000万円の不動産を贈与された場合、贈与税は次の計算により求められます:(1000万円 – 110万円)× 30% – 65万円 = 202万円。評価額2000万円の場合は、(2000万円 – 110万円)× 50% – 250万円 = 695万円となり、贈与税の負担は大きくなります。

多くの人が最初は専門家への相談を避けがちですが、自ら名義変更を進めた後に税務署からの申告依頼の通知を受け取り、後悔するケースも少なくありません。贈与税の申告期限を過ぎると、後から贈与を取り消すことはできず、結果的に専門家への支払いを上回る額の税金を支払うことになる可能性があります。

夫婦間で居住用不動産を贈与したときの特例とは?

贈与税は一般的には高額になることが多いのですが、婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用の不動産を贈与する場合、税法上「配偶者控除の特例」が適用されることで、贈与税の負担が軽減される、あるいは非課税となることがあります。

この特例を適用するためには、以下の条件を満たす必要があります:

  • 夫婦が20年以上の婚姻期間を経て贈与を行うこと。
  • 贈与される財産が居住用不動産、またはその取得資金であること。
  • 贈与を受けた者が、贈与された不動産に実際に居住しており、今後も居住する見込みであること。

この特例により、110万円の基本控除に加え、最大2000万円までの贈与が非課税となります。これによって、合計最大2110万円までの贈与に対して贈与税が免除されます。

また、贈与された不動産に関して、贈与者が贈与後3年以内に亡くなった場合には、その不動産は相続税の計算の際に相続財産に含めないことができるため、相続税の負担軽減にもつながります。ただし、配偶者の法定相続分または最大1億6000万円までが非課税とされるため、この枠を超える相続は生前贈与と比較して税負担が高くなる可能性があります。

不動産の生前贈与では不動産取得税が発生しますが、相続の場合はこの税金がかかりません。さらに、登録免許税の税率も贈与の場合は1000分の20ですが、相続では1000分の4と大きく異なります。

したがって、夫から妻へ不動産を贈与する際は、税金の面から見ても、専門家に相談し、生前贈与が本当に最善の選択かどうか慎重に検討することが推奨されます。

贈与による登記の手続き

夫が妻に家を生前贈与する際の不動産登記は、夫と妻が共同で行う必要があります。この手続きに必要な書類は次の通りです:

  • 登記原因証明情報:これは、家の贈与があったことを証明するための書類です。贈与契約書などがこれに該当します。
  • 家の権利証:不動産の所有権を証明する公的な書類です。
  • 夫の印鑑証明書:贈与者である夫の印鑑証明書が必要となります。
  • 妻の住民票:贈与を受ける妻の住民票が必要です。これにより、妻の住所と身元が確認されます。
  • 固定資産評価証明書:不動産の評価額を示す書類で、固定資産税の評価基準となるものです。

この手続きを通じて、不動産の名義変更が正式に行われ、妻が法的にその不動産の所有者となります。生前贈与に伴う登記は、不動産の所有権移転を公的に記録し、将来的なトラブルを防ぐために重要です。このプロセスをスムーズに進めるためには、事前に司法書士や不動産専門の弁護士と相談することが推奨されます。

財産分与による夫から妻への名義変更

財産分与は、夫婦が婚姻期間中に共同で築き上げた財産を、離婚時に公平に分け合うプロセスを指します。この際、夫名義または夫婦共同名義の不動産を妻が受け取る場合、不動産の名義変更登記を行うことで、正式に妻の名義に変更されます。

財産分与による不動産の名義変更は、贈与とは異なり、分割される財産の一部として扱われるため、原則として贈与税は課されません。しかし、分配される財産の量が相場を大きく超える場合など、特殊な事情によって贈与税が適用される可能性もあります。このため、財産分与を進める際には、税務に関する専門的なアドバイスを受けることが望ましいです。

住宅ローンが残っているとき

離婚時に財産分与を行う際、住宅ローンが残っていると、名義変更のプロセスは複雑になります。住宅ローンの契約条件によっては、銀行の承諾が必要であり、銀行に無断で名義変更を行うと、契約違反により一括返済を求められるリスクがあります。銀行が名義変更を承諾することは少ないため、解決策が必要になります。

収入がある場合、妻は住宅ローンを自身の名義で借り換えることが可能です。これにより、家の名義を夫から妻へと財産分与で移すことができます。ただし、この方法は妻が十分な収入を有している場合にのみ実行可能です。

もうひとつの解決策は、住宅ローン完済を条件に仮登記を行い、ローン完済後に本登記を完了させる方法です。仮登記は登記簿上での権利の順位を確保するための手続きで、将来の本登記に向けての準備です。仮登記を行う最大のメリットは、夫が不動産を勝手に第三者に移転することを防げる点にあります。仮登記の後に行われた他の登記は、仮登記に優先されないため、妻は後に本登記を行う際に他人名義の登記を無効にできます。

しかし、実際に本登記を行えるのは、住宅ローンが完済された後になるため、その時点まで時間がかかる可能性があります。このような名義変更手続きを進める際には、専門家の助言を得ることが望ましいでしょう。

財産分与による登記の手続き

財産分与によって夫から妻へ不動産の名義変更が行われる場合、この手続きは夫婦共同で進める必要があります。不動産登記に必要な主な書類は以下の通りです:

  • 登記原因証明情報:財産分与が行われた事実を証明する書類。通常、遺産分割協議書や財産分与協議書がこれに該当します。
  • 権利証:不動産の所有権を示す公的な証明書。
  • 印鑑証明書:名義変更を行う夫のものが必要です。
  • 住民票:名義変更を受ける妻のものが必要となります。
  • 固定資産評価証明書:不動産の評価額を証明する書類。この書類は、不動産の価値を正確に把握するために必要です。

財産分与による名義変更は、贈与や相続とは異なり、離婚における共有財産の分割の一環として行われます。このプロセスを正確に進めるためには、これらの書類を準備し、適切な手続きを踏むことが必要です。不動産の名義変更は、夫婦双方の合意と協力が基礎となるため、事前の準備と相談がスムーズな手続きを促します。

夫婦間の家の名義変更についてのよくある質問や相談

夫が亡くなったら妻の名義とする?それとも子供の名義とした方がいい?

配偶者が亡くなった際に家の名義をどのように決定するかは、個別の事情や将来的な計画、税務の影響を含めた多くの要素を考慮する必要があります。例えば、夫が亡くなり、妻と子供二人が残されている状況では、最も一般的な選択肢は生存している配偶者、つまり妻に不動産の名義を変更することです。これは、相続のプロセスを単純化し、妻の住居の安定を保証するための方法です。

しかし、長男が家を継ぐことが決定している場合など、特定の事情に応じて、直接長男の名義に変更することも検討されることがあります。この方法を選択すると、妻が後に亡くなった時に再度名義変更の必要がなくなりますが、長男が先に亡くなるなど予期せぬ事態が発生した場合のリスクも考慮する必要があります。

名義変更の決定は、一度行うと取り消しが困難であり、家族間での十分な話し合いと、メリット・デメリットをしっかりと理解した上での決定が重要です。また、複雑な相続の問題や税務上の影響を適切に評価するためには、法律や税務の専門家のアドバイスを求めることが賢明です。

相続人全員または一部で不動産を共有することも選択肢の一つとしてあり得ます。この場合も、将来の運用や管理、売却時の合意形成のために、家族間での明確な合意とルール作りが不可欠です。

生前に名義変更するのと、亡くなってから名義変更するのはどちらが良いのか?

名義変更を生前に行う場合、これは一般に「贈与」として扱われ、亡くなった後に行う場合は「相続」というプロセスを経ます。費用面だけで見ると、相続を通じた名義変更の方が経済的に負担が少ないことが多いです。

具体的には、登記の際に必要な登録免許税は、相続の場合不動産評価額の0.4%に対して、贈与では2%となり、相続の際の方が大幅に低く設定されています。さらに、贈与の場合、不動産取得税が課税されるのが通常ですが、相続ではこの税金は課されません。

しかし、手続きの簡便さを考えた場合、贈与は夫婦二人だけで完結するのに対し、相続では子供や配偶者の兄弟など、他の相続人も関与することがあります。特に相続人間で意見の対立がある場合、名義変更が困難になる可能性があります。

また、税金の面では、相続税や贈与税の考慮も必要です。相続税は全体の資産を基に計算されるため、資産全体の評価額と相続の免税額を総合的に考慮する必要があります。

結局、生前に名義変更を行うか、亡くなってから行うかの選択は、費用、手続きの簡便さ、将来のリスク、税金の面から総合的に判断する必要があります。ご家族の状況や意向、資産の構成を十分に検討し、場合によっては専門家のアドバイスを求めることが賢明です。

離婚を考えている場合、名義変更手続きは離婚前と離婚後どっちが良い?

離婚を考えている際に、不動産の名義変更をいつ行うかは一つの重要な問題です。離婚前に行う場合と離婚後に行う場合では、特に贈与税に関して大きな違いがあります。

離婚届の提出前に名義変更を行うと、その取引は通常「贈与」と見なされ、贈与税が適用される可能性があります。しかし、結婚して20年以上が経過しており、自宅の贈与であれば、「配偶者控除の特例」を利用することができ、特定の条件下では贈与税が課税されないこともあります。ただし、この場合でも贈与税の申告手続きは必要になります。

一方、離婚後に財産分与として名義変更を行う場合、このプロセスは贈与税の対象外となります。このため、一般的には離婚後に名義変更を行う方が、贈与税の心配をする必要が少なくなります。

さらに、譲渡所得税の観点からも違いがあります。離婚前に贈与として名義変更を行った場合は、譲渡所得税は課税されません。しかし、離婚後に財産分与として行う場合、不動産が購入時より価値が上がっている場合には譲渡所得税が適用される可能性があります。

したがって、離婚を検討している場合、名義変更を離婚前に行うか離婚後に行うかは、贈与税や譲渡所得税を含む税務の影響を総合的に考慮して決定することが重要です。不確実性を避けるためにも、専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

住宅ローンが残っている場合の離婚を避けた方が良い?

住宅ローンの残高がある状態で離婚を考えている場合、名義変更と住宅ローンの扱いには特別な注意が必要です。もし住宅ローンの借り換えや新所有者への変更がスムーズに行えるならば、名義変更に伴う問題は特に発生しません。しかし、住宅ローンの残債をそのままにして名義だけを変更する場合、複数の問題やリスクが生じる可能性があります。

名義変更自体は銀行の協力無しに進めることが可能ですが、これによって契約違反となり、契約上のリスクが発生することがあります。特に、住宅ローンの支払い責任に関する明確な取り決めがない場合、支払い遅延やデフォルトが発生した際の法的責任が不明確になるなど、経済的なリスクが高まります。

このような状況を避けるためには、離婚前に専門家と相談し、住宅ローンの残債管理に関する適切な計画を立てることが重要です。可能であれば、住宅ローンの名義変更と同時にローンの借り換えや完済を目指すなど、両者にとって納得のいく解決策を見つけることが望ましいでしょう。

泉俊佑

Sity,Inc.代表の泉俊佑です。同社は空き家や事故物件などの売れにくい不動産の買取再販を行う不動産業者です。同社が運営しているサービスサイトである「瑕疵プロパティ買取ドットコム(瑕疵プロ)」の運営者も務めています。宅地建物取引士。

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