更地を購入する際にかかる税金には、固定資産税、不動産取得税、登録免許税の3種類があります。それぞれ評価方法、税率、納付先が異なりますが、特に固定資産税は、更地か住宅用地かによって税額が大きく変わります。
本ブログでは、更地を取得(主に購入)した場合にかかるこれらの税金について詳しく解説していきます。
更地の評価
固定資産税や不動産取得税といった、土地の取得等にかかる税金を理解する前に、まずは土地の属性を理解する必要があります。
土地は、宅地とそれ以外(農地、山林、雑種地)に分類されます。宅地とは建物の敷地やその維持のために必要とされる土地をいい、すでに建物が立っている土地については宅地となります。一般的な住宅用地であればまず宅地と考えて良いでしょう。
次に宅地は住宅用地、非住宅用地に分類されます。
・住宅用地とは、住宅の敷地の用に供されている土地を指します。
・非住宅用地とは、住宅用地以外の宅地を指します。例えば商業ビルや現に住宅用地として利用されていない宅地を言います。
ここで更地のように何も収益を産んでいない土地については、非住宅用地に分類されます。更地はどこでも一律に非住宅用地として評価されることになります。一般的に、固定資産税、不動産取得税の評価において、更地は住宅用地と比較して評価額が最も高い状態となっています。
次章以降でそれぞれの税額と評価額を解説します。
発生する税金その1:固定資産税
そもそも固定資産税とは
固定資産税は、毎年1月1日時点で土地や建物を所有している方に課される、市区町村税(東京23区の場合は都税)です。所有者には、市区町村から毎年納税通知書が送付され、納税は4月、7月、12月、翌年2月の4回に分けて行います。
固定資産税額の算出方法
固定資産税の税額は、「固定資産税評価額(課税標準額)× 税率」で算出されます。
固定資産税評価額は、国が定めた基準に基づき、市町村が土地や家屋の価値を評価して決定します。この評価額は3年に一度見直されます。
土地の場合は、その用途によって評価方法が異なります。例えば、住宅地であれば地価公示価格(国が毎年公表する土地の評価額)の7割を目安に評価額が算出されます。
固定資産税の税率は、原則として1.4%ですが、市町村によって異なる場合がありますので、事前に確認しておきましょう。
なお、固定資産税額の計算は市町村が行い、所有者へ通知されますので、ご自身で計算する必要はありません
都市計画税:都市整備の財源となる税金
都市計画税は、都市計画区域内の土地や家屋に課される税金で、その税収は市街化区域内の整備や開発事業に活用されます。固定資産税と合わせて課税されることが一般的で、毎年1月1日時点で対象となる土地や家屋を所有している場合、市町村(東京23区の場合は東京都)に納税する義務が生じます。
都市計画税の税額は、「固定資産税評価額(課税標準額)× 税率(0.3%以下)」で算出されます。固定資産税評価額は、固定資産税と同様に市町村が評価した土地や家屋の価値で、税率は市町村が条例で定めますが、上限は0.3%とされています。具体的な税率は、お住まいの市町村のホームページなどで確認できます。
なお、都市計画税額の計算も市町村が行い、納税者へ通知されますので、ご自身で計算する必要はありません。
住宅用地の特例とは?固定資産税軽減の仕組み
住宅を建てると、その土地は「住宅用地」として固定資産税が軽減されます。住宅用地とは、1月1日時点で、人が住むための住宅(専用住宅や一部が住居として使われる併用住宅)の敷地に使用されている土地を指します。
専用住宅の場合は、敷地の面積が建物の延べ床面積の10倍までが住宅用地として認められます。併用住宅の場合は、住宅部分の割合に応じて住宅用地面積が計算されます。
住宅用地には、「小規模住宅用地」と「一般住宅用地」の2種類があり、それぞれ固定資産税の軽減率が異なります。小規模住宅用地は、一戸建て住宅につき200平方メートルまでの土地で、固定資産税評価額の1/6が課税標準額となります。一般住宅用地は、小規模住宅用地以外の住宅用地で、固定資産税評価額の1/3が課税標準額となります。
つまり、住宅用地となることで、固定資産税が大幅に軽減される可能性があります。
空き家を解体すると固定資産税はどうなる?:更地の固定資産税
空き家を解体すると、固定資産税がどの程度上昇するのか、具体的に見ていきましょう。ここでは、土地の面積が200平米以下の場合と200平米を超える場合の2つのケースで、住宅がある場合と更地にした場合の固定資産税を比較します。
狭めの土地(200平米以下)の場合
まず、土地全体が小規模住宅用地となるケースを想定します。例えば、200平米で固定資産税評価額1,200万円の土地に住宅がある場合、固定資産税は2.8万円となります。(計算式は省略)
一方、同じ土地を更地にした場合、固定資産税は11.76万円となり、住宅がある場合の4.2倍に上昇します。
広めの土地(200平米超)の場合
次に、一部が一般住宅用地となる広めの土地の場合を考えます。例えば、300平米で固定資産税評価額1,800万円の土地に住宅がある場合、固定資産税は5.6万円です。(計算式は省略)
同じ土地を更地にした場合、固定資産税は17.64万円となり、住宅がある場合の3.15倍に上昇します。
固定資産税の上昇は3~4倍程度
このように、住宅用地の面積によって変動しますが、一般的に空き家を解体すると固定資産税は3~4倍程度に上昇します。
「空き家を解体すると固定資産税が6倍になる」という情報を見かけることもありますが、これは必ずしも正確ではありません。更地になると、住宅用地の軽減措置が受けられなくなる代わりに、固定資産税評価額の70%が課税標準額となるため、固定資産税の上昇は3~4倍程度に落ち着くケースが多いのです。
更地を取得した場合の固定資産税の計算例
更地である非住宅用地の固定資産税評価額が1200万円の場合の、固定資産税の計算方法は下記の通りとなります。
課税標準:1200万円 × 70%(非住宅用地の評価係数)=840万
固定資産税額:840万 × 1.4% = 11.7万円 (都市計画税は別途)
発生する税金その2:不動産取得税
そもそも不動産取得税とは
不動産取得税とは、不動産を取得したときに取得した者に課せられる都道府県税で、不動産の購入後しばらくすると自治体から納税通知書が送られてきます。
不動産取得税の課税標準は固定資産税評価額を使用しますが、土地については、特例により令和9年3月31日までに宅地評価土地を取得した場合の課税標準が固定資産税評価額の1/2に軽減されています。
不動産取得税の税率
不動産取得税の税率は、原則として4%ですが、土地や住宅を取得する場合、2027年3月31日までは軽減措置が適用され、税率が3%に引き下げられます。この軽減措置には特別な要件はなく、土地または住宅であれば自動的に適用されます。
さらに、宅地や宅地とみなされる土地については、同じく2027年3月31日までの取得であれば、評価額の半額が課税標準額となる特例も適用されます。
不動産取得税の税率一覧
区分 | 税率(原則) | 税率(軽減措置) | 軽減措置適用期限 |
---|---|---|---|
宅地 | 評価額 × 4% | 評価額 × 1/2 × 3% | 2027年3月31日まで |
住宅 | 評価額 × 4% | 評価額 × 3% | 2027年3月31日まで |
上記の通り、非住宅の建物(商業ビルなど)については、標準税率の4%が適用されますが、それ以外の住宅や土地を取得した場合には、税率は3%が適用されます。
住宅用の土地を取得した場合の軽減措置の特例
下記のいずれかの条件を満たす土地の取得の場合には、不動産取得税の軽減措置により土地の不動産取得税から一定の金額が控除されることになります。
新築住宅用土地
特例適用住宅(一定の省エネ性能などを満たす住宅)の敷地で、以下のいずれかの要件を満たす土地が対象となります。
- 土地を取得した日から3年以内に、その土地に特例適用住宅が新築された場合(ただし、土地の所有者が継続している場合や、土地の取得者から土地を取得した人が新築した場合に限る)
- 特例適用住宅を新築した日から1年以内にその敷地を取得した場合
- 新築未使用の特例適用住宅とその敷地を、新築日から1年以内に取得した場合
- 取得者自らが居住するために、新築未使用の特例適用住宅とその敷地を取得した場合
中古住宅用土地
軽減措置が適用される中古住宅の敷地で、以下のいずれかの要件を満たす土地が対象となります。
- 土地を取得した日から1年以内にその土地に建っている中古住宅を取得した場合
- 中古住宅を取得した日から1年以内にその敷地を取得した場合
- 一定の耐震基準を満たす中古住宅を取得し、取得後6ヶ月以内に耐震改修を行い、自己の居住用に供する場合(平成30年4月1日以降の取得に限る)
減額される税金
下記のいずれか多い金額が土地の取得にかかる税額から控除されます。
(a) 150万円 × 3% = 4万5,000円
(b) 土地1平米あたりの価格 × 1/2 × 住宅の床面積の2倍(1戸あたり200平米が限度) × 3%
更地を取得した場合の不動産取得税の計算例
更地である非住宅用地の固定資産税評価額が1200万円の場合の、不動産取得税の計算方法は下記の通りとなります。
課税標準:1200万 × 1/2 = 600万
不動産取得税額:600万 × 3% = 18万
その他の税金:登録免許税
不動産取得税以外に、不動産を取得する際にかかる税金として、登録免許税があります。登録免許税は、不動産の所有権移転登記など、登記申請を行う際に必要となる税金です。登記申請時に収入印紙を購入することで納付します。
登録免許税額は、固定資産税評価額に税率をかけた金額で計算されます。税率は、登記申請の事由によって異なり、売買、相続、法人の合併、交換、贈与など、それぞれのケースで定められています。
登録免許税の税率
区分 | 課税標準 | 税率 | 軽減税率(措法72) | 軽減税率適用期限 |
---|---|---|---|---|
売買 | 不動産の価額(注) | 1,000分の20 | 1,000分の15 | 令和8年3月31日まで |
相続、法人の合併または共有物の分割 | 不動産の価額(注) | 1,000分の4 | – | – |
その他(贈与・交換・収用・競売等) | 不動産の価額(注) | 1,000分の20 | – | – |
(注)課税標準となる「不動産の価額」は、市町村役場で管理している固定資産課税台帳に登録された価格がある場合は、原則その価格です。固定資産課税台帳に登録された価格がない場合は、登記官が認定した価額になりますので、その不動産を管轄する登記所にお問い合わせください。
相続による土地の所有権移転登記の免税措置
相続による土地の所有権移転登記には、以下の免税措置があります。
- 相続人が死亡した場合の免税: 相続により土地の所有権を取得した個人が、所有権移転登記を受ける前に死亡した場合、令和7年3月31日までにその死亡した個人を所有権の登記名義人とするための登記については、登録免許税は課されません。
- 課税標準額100万円以下の場合の免税: 令和7年3月31日までに、土地について所有権の保存登記または相続による所有権の移転登記を受ける場合で、課税標準額が100万円以下の場合は、登録免許税は課されません。
土地を売買により取得した場合の登録免許税の計算例
土地(固定資産税評価額が1200万円)を売買により取得した場合の、不動産取得税の計算方法は下記の通りとなります。
課税標準:固定資産税評価額そのまま1200万円
登録免許税:1200万円 × 15/1000 = 18万円
まとめ
固定資産税評価額1,200万円の更地を取得した場合、売買代金に加えて以下の税金が発生します。
- 固定資産税:年間11万7千円
- 不動産取得税:18万円
- 登録免許税:18万円
合計すると、47.7万円となり、固定資産税評価額のおよそ4%に相当する費用負担が生じます。
これらの税金はそれぞれ計算方法や軽減措置が異なります。再建築不可の更地であっても、固定資産税や不動産取得税、登録免許税などの税金がかかることを理解し、事前にしっかりと把握しておくことが大切です。
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