戦前からの底地を売る際注意することとは?売却方法や手順を解説!

底地・借地

戦前から続く借地契約に関して、1992年の法改正後も旧法が適用される土地が存在します。この旧法に基づく契約は、現行法に比べて解約が困難であり、戦前の基準に従った低い地代が設定されていることが一般的です。

このような土地は、地主にとって収益性が低く、市場に出しても容易には売れない可能性が高いです。販売を考えている場合、底地専門の買取業者に相談するのが適切です。これらの業者は、旧法適用の借地権が付帯する土地でも迅速に高額での買取が可能であり、無料査定を活用して土地を売却する際の方法や買取価格を確認することができます。

戦前からの底地を売却する際の3つの注意点

底地の売却において、地主は自身の意思で自由に手続きを進めることができます。たとえ底地上に建物を建て、そこに居住している借地人がいたとしても、その承諾は必要ありません。しかし、戦前からの底地の売却には特に留意すべき三つの点があります

  1. 戦前に結ばれた借地契約は旧法借地権が適用されます。これにより契約の解除が困難になる可能性があります。
  2. 地代は現在の市場価格に合わせないと、売却価格が低く評価されることがあります。適正な評価を受けるためには、市場の相場を理解することが重要です。
  3. 土地の境界が不明確な場合が多く、これが売却手続きに影響を及ぼすことがあります。正確な測量を行い、土地の境界を明確にすることが推奨されます。

これらの点に注意を払い、適切な準備を行うことで、買主が見つかりやすくなり、売却価格も適正に保たれる可能性が高まります。それでは、これらの注意点についてさらに詳細を見ていきましょう。

戦前に結ばれた借地契約は旧法借地権が適用

借地権の歴史は1921年(大正10年)に制定された「借地法」に遡ります。

この法律はその後何度も改正され、1992年には「借地借家法」が施行されました。

この法律は、借地法と借家法、さらに建物保護法を統合したものです。1992年8月1日の施行日をもって、以前に設定された借地権を「旧法借地権」、施行日以降に設定された借地権を「新法借地権」と区分しています。

旧法借地権では、借地権者の権利がより強固であり、建物が存在する限り契約の更新が可能です。また、借地借家法の施行後に契約が更新された場合でも、適用されるのは引き続き旧法です。

旧法借地権では売却価格が低くなる

地主が借地権の更新を拒否する場合、その決定を正当化する「正当事由」が必要です。

ただし、正当事由の基準は非常に厳しく、例えば地主が他に土地を持っておらず、底地を利用して自己の住居を建てる必要がある状況など、生活に直接的な困難が伴う場合に限られます。もしも契約更新時に新たな借地借家法に基づく新法借地権で再契約していない場合、旧法借地権が継続されます

このような底地を売却する際には、新しい地主が古い契約を引き継ぐことになり、新法借地権に基づく契約に切り替えるための手間が発生します。その結果、旧法借地権のままの土地は、市場での売却価格が低くなる傾向にあります。

地代は現在の市場価格に合わせないと、売却価格が低く評価される

戦前に結ばれた契約では、当時の相場に基づいて設定された地代が現在も適用されている場合があります。しかし、貨幣価値の変動により、これらの地代が現在の市場価格と比較して著しく低い可能性があります。

一般的に、地代は固定資産税と都市計画税の合計の3倍から5倍程度が適正とされます。もし地代がこの基準よりも顕著に低い場合は、その地代が市場において安価であると判断されます。

底地を購入する第三者の主な目的は地代収入の獲得です。そのため、地代が不適切に低い場合、新しい地主は地代の値上げ交渉を行う可能性が高くなります。

地代の値上げは、固定資産税の増加、地価の上昇、周辺土地の地代との不相当な差異など、特定の条件下でのみ認められます。この交渉プロセスは手間がかかり、必要な情報を集めることも大変です。

最終的に地代を市場価格に近づけることで、底地の売却価格を向上させることが可能です。ただし、地主間の交渉が困難な場合は、専門の不動産業者を仲介にして相談することが望ましいです。このアプローチにより、トラブルを避けながら効率的な売却が実現できます。

土地の境界が不明確な場合が多く、これが売却手続きに影響を及ぼす

戦前から続いている底地の多くは、土地の境界線が不明瞭であり、これが売却時の手続きに様々な問題を引き起こすことがあります。

現存する測量図が誤りを含んでいることもあり、これが正確でない場合、売却後に新しい地主と隣接地の所有者との間で紛争が生じるリスクがあります

そのため、売却前に土地家屋調査士による専門的な測量を行い、隣地所有者との境界を正確に確定することが重要です。このプロセスには40万円から50万円の費用がかかる場合が多いですが、将来的なトラブルを避けるためには必要な投資です。

戦前からの底地を売却するための6つの方法

戦前からの底地を効果的に売却するには、以下の6つの方法があります。

  1. 借地人に直接売却する:これは土地の所有者と借地人が直接取引を行う方法で、通常、最も高値で売却することが可能です。
  2. 借地権を買い取ってから第三者に売却する:地主が借地権を買い戻し、その後土地を自由に市場で売却します。
  3. 借地人と協力して借地権と同時に売却する:借地人と協力して土地と建物をセットで売却し、両者の利益を最大化します。
  4. 底地と借地権を等価交換し、所有権のある土地を売却する:借地人と底地の交換を行い、その後新たに取得した土地を売却する方法です。
  5. 不動産投資家に売却する:投資目的で土地を求めている不動産投資家へ売却します。
  6. 買取業者に売却する:迅速に現金化を望む場合に適した方法で、売却手続きが手軽で速やかに行えます。

これらの方法を適切に選択することで、売却プロセスがスムーズに進行し、最適な条件で土地を売却できます。それぞれの方法について、詳細を見ていくことが重要です。

借地人に直接売却する

借地人へ底地を売却する場合、土地は完全所有権となり、土地の価値を最大化できます。この方法では、戦前の借地契約の確認や地代の現行市場価格への調整が不要となります。さらに、底地を売却する際には、建物の老朽化が進んでいる場合や建替えが必要な時でも、借地人が直接手続きを進めることができ、非常に効率的です。

売却相場は更地の価値の約40%から50%で、通常の第三者への売却よりも価格が高く設定される傾向にあります。借地人は住宅ローンの利用が可能であるため、底地の購入に際して現金一括払いの必要がなく、取引がスムーズに進むことが多いです。

このため、戦前からの底地を売却を検討する際は、まず借地人に買取の意向を確認することが最も効果的です。このアプローチにより、売却プロセスが迅速かつ利益を最大化する形で進行する可能性が高くなります。

借地権を買い取ってから第三者に売却する

この方法では、地主がまず借地権を借地人から買い取り、土地を完全な所有権で持つことによって、市場で自由に売却することができます。

このプロセスには、借地契約の内容が影響しないため、取引は比較的スムーズに進行します。借地権の買取が交渉の初期段階で借地人と合意できれば、プロセスはさらに簡単になります。また、借地人が初めは売却に消極的であった場合でも、適切な売却価格の提示によって意向が変わることも多いです。

借地権の買取相場は、土地の更地価格の50%~60%です。たとえば、更地価格が3,000万円の土地の場合、借地権の買取価格は1,500万円から1,800万円に設定されることが一般的です。

買取には大きな資金が必要ですが、完全所有権を得た後の土地の売却からは十分な利益が期待できます。資金が不足している場合でも、融資を受けることでこの手続きを行う価値があります。

借地人との交渉、融資の申し込み、その他の手続きについては、不動産専門家や法律顧問との相談が推奨されます。これにより、売却プロセスを効率的かつ効果的に進めることができます。

借地人と協力して借地権と同時に売却する

借地人が土地の購入資金を用意できない場合、または地主が借地権の買取資金を用意できない状況であれば、借地人と地主が協力して土地と借地権を同時に売却する方法が適切です。この手法は、底地と借地権を一体として取り扱い、市場価格で売り出すことが可能となります。

この売却手法では、売却代金の適正な配分が重要となります。売却後の代金は、土地の測量費や仲介手数料を差し引いた後、土地と借地権の権利比率に基づいて分配されることが一般的です。この配分割合の設定は交渉に依存しますので、経験豊富な不動産業者に交渉を任せることが望ましいです。

借地権と底地の取り扱いに特化した専門業者の選定は、このプロセスでの成功を大きく左右するため、選定には慎重に行う必要があります。

底地と借地権を等価交換し、所有権のある土地を売却する

底地が広すぎる場合、それをそのまま売却すると、使い勝手が悪く買主が見つかりにくい可能性があります。

このような状況では、借地権と底地を等価交換して土地の面積を効果的に小さくし、所有権としてより魅力的なパッケージで市場に出す方法が有効です。等価交換とは、底地と借地権の価値が等しくなるように交換する手法で、通常は底地割合に基づいて土地を再配置します。ただし、底地割合が30%から40%が一般的であり、交換後の土地の面積が元の底地の半分未満になるケースもあります。

等価交換を行う際は、土地の形状が交換に適しているか、また建物の取り壊しが必要な場合もあるため、これらの要素を事前に検討する必要があります。

実際に交換が可能かどうか、具体的な条件を確認し、専門家との相談を行うことが推奨されます。このアプローチにより、広すぎる土地の売却が困難な場合にも適切な解決策を見つけることが可能です。

不動産投資家に売却する

底地の単独売却は、以下のような状況で適切な選択肢となります。

  • 借地人が底地の購入を希望しない場合
  • 借地人が借地権の売却に同意していない場合
  • 底地と借地の等価交換が困難な場合

底地を単独で売却した際、既に借地人が存在するため、新しい地主は土地を自由に利用することができません。この制限は、主に地代収入を求める不動産投資家にとって魅力的な投資機会を提供します。底地の利回りは、アパートやマンションの賃貸経営に比べると一般的に低いものの、空室リスクや倒壊リスクがなく、その安定性が保証されます。

長期的には、投資家が借地人から借地権を買い取り、土地を完全所有することで、将来的に大きな売却益を得る可能性もあります。

ただし、売却価格は通常、更地価格の10%程度となりがちです。また、戦前からの底地で借地契約の内容が不明確である場合や地代が非常に低い場合、これらの要因は買主が将来にわたって直面する可能性のある手間とリスクを増加させ、価格をさらに下げる要因になります。このため、売却前には不動産専門家と共に詳細な評価と計画を行うことが重要です。

買取業者に売却する

底地の買取を専門とする業者への売却は、以下のような状況で特に有効です:

  • 底地の購入希望者が見つからない場合
  • 底地をできるだけ早急に売却したい場合

買取業者は、通常の市場では購入者が見つかりにくい底地でも、その専門知識と資金力を活かして迅速に買い取ることが可能です。

これらの業者は通常、資金が豊富であり、底地の有効活用に関するノウハウも備えています。そのため、買取業者を利用すると、売却プロセスが非常に速やかに進みます。例えば、買取業者に依頼すれば、通常は2週間から1カ月以内に現金化が可能です。

この迅速さは、特に急いで資金が必要な場合や、長期間にわたって底地の買い手が見つからない場合に特に有利です。買取業者への売却は、直接的でシンプルな取引を望む売主にとって最適な解決策を提供します。

契約内容が曖昧or不明になっている際の売却方法

戦前からの底地を売却する際、特に契約内容が曖昧または不明である場合、土地の権利関係や存在するかもしれない増改築禁止特約など、契約の詳細を事前に明確にすることが極めて重要です。

新しい地主が土地を購入すると、法律上、現在の契約内容をそのまま引き継ぐことになるため、不明瞭な点があると将来的に法的なトラブルが発生する可能性があります。

古い底地の場合、契約書が残っていなかったり、元々正式な契約書が存在しなかったりすることがあります。このような状況では、土地の使用歴や前地主と借地人間の口頭での合意、地域の慣習などから契約の内容を推測することも必要になるかもしれません。さらに、地元の役所で登記簿謄本を取得し、土地の登記情報を確認することも効果的です。

ここからは、契約内容が曖昧または不明となっている場合の売却方法について説明します。

契約書を探す

契約書の捜索を開始するには、まず底地が相続された際に集められた関連書類の中から探し始めます。

これらの書類は家の隠れた場所に保管されていることがあります。もし相続人が複数いる場合、他の親族も書類を持っている可能性があるので、広く尋ねてみることが重要です。

それでも契約書が見つからない場合は、借地人に確認することが次のステップです。歴史が古い契約の場合、地主と借地人の双方が契約書のコピーを保持している可能性が高いため、借地人が契約書を持っている可能性も考慮に入れるべきです。

借地契約を明確にした上で結び直す

契約書が見つからない場合は、現在の土地使用状況を基に新たな土地賃貸借契約書を作成しましょう。

この際、新法借地権を採用して契約を結び直すことを推奨します。新法では地主の権利がより強化されるため、将来的に土地の管理や売却が容易になります。

契約書の草案は不動産専門家に依頼して作成し、その後、地主と借地人が共に内容を検討し合意に至る必要があります。

契約が再結ばれた後は、底地の売却プロセスを進めることができます。通常の底地売却手続きに従い、適切な購入希望者を見つけることが次のステップとなります。

まとめ

戦前からの底地は、契約内容がしばしば曖昧で、契約書が失われていることが多いです。

借地人への売却や借地権の買戻しを行う場合、土地は単独所有となるため、通常は問題ありません。しかし、新たな地主として第三者に売却する際には、過去の不明瞭な契約内容が問題となることがあります。このため、トラブルを防ぐためには、新しい土地賃貸借契約書の作成が必要となります。

さらに、戦前のレベルで固定された地代が現在の市場価格を大幅に下回っている場合が多く、この状況では買主にとっての投資リターンが低くなります。地代の適正化は可能ですが、これには交渉が伴うため、買主にとっては負担となります。

最適な売却方法を選択するためにも、底地と借地権の扱いに精通した不動産会社に相談することが重要です。専門家の支援を受けることで、売却プロセスをスムーズに進めることが可能となり、より良い結果を期待できます。

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