クラックとは?戸建ての外壁のひび割れの判別方法を徹底解説!

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いつの間にか発生している外壁のクラックについて、どのように修繕すべきかお悩みの方も多いことでしょう。この記事では、戸建て住宅の外壁に発生するひび割れ、「クラック」についての原因、種類、対処法までを網羅的に解説しています。

クラックについて

クラックとは?なぜ発生する?

クラックは、戸建てなどの建築物の外壁、内壁、基礎などに見られる亀裂を指します。これらは経年劣化や地震といった外部からの影響で生じることがあります。クラックの発生要因は、地盤による問題や建物基礎による問題、地震などの自然災害によるものなど、検討できる要因は複数あり、一概に原因を特定できるものではありません。またクラックを放置すると、雨水が侵入し、建物の腐食を進行させる可能性があります。特に深刻なひび割れは、建物の構造に影響を与えるため、迅速な対応と補修が求められます。

住宅の基礎について

そもそも、住宅の基礎には、「ベタ基礎」と「布基礎(ぬのきそ)」の主な2種類が存在します。これらの基礎は、住宅の安定と耐震性に重要な役割を担っています。

【ベタ基礎】

地盤全体に鉄筋コンクリートの基礎を敷設する工法で、建物を「面」で支えることにより高い耐震性を実現します。また、地中からの湿気が建物内に伝わりにくいため、湿気による被害を抑制できるという利点があります。施工費用は高いものの、その耐久性と安全性から多くの新築住宅に採用されています。

【布基礎】

主に柱や壁の下に限定して基礎を設置する工法で、建物を「点」で支える方式です。この方法は耐震性に劣るものの、施工コストを低く抑えられる利点があります。しかし、古い建築技術に基づくこの工法は、現代の建築基準の進化により、新しい住宅ではほとんど採用されなくなっています。

このように、ベタ基礎と布基礎はそれぞれに独自の特徴と利点があり、住宅を建設する際には、その地域の地盤状況や建物の設計、予算などを考慮して適切な基礎工法が選択されます。

外壁の仕上げは何でできている?

コンクリート

外壁の仕上げ材として広く用いられるコンクリートは、セメント、砂、水、砂利を組み合わせて作られ、これに鉄筋を組み込むことで、より強度の高い鉄筋コンクリート(RC)住宅が構築されます。

モルタル

モルタルは、主にセメント、砂、水を混合して作られる建築材料で、戸建て住宅の外壁仕上げに広く使用されています。この材料は、セメントが水や石灰と混合された粉体と反応し、硬化することでその強度を発揮します。セメントとモルタルは似ていますが、両者の主な違いは、モルタルが建築や補修作業において接着剤や仕上げ材として使用される点にあります。また、セメントとモルタルには、それぞれ様々なタイプがあり、用途に応じて選ばれます。

クラックの判別方法

クラックは大きく分けると2種類あり、その幅によって異なる種類と対応が求められます。ひび割れを正しく判別するために、見極め方法をご紹介します。

住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)と宅地建物取引業法では、外壁のひび割れに対する基準を明確に設定しており、ひび割れの幅に応じて構造上の危険性を評価しています。

  • 《レベル1》幅0.3mm未満:この範囲のひび割れは「低い」リスクとされ、構造上の重大な問題は少ないと考えられます。
  • 《レベル2》幅0.3mm以上0.5mm未満:この範囲のひび割れは、構造耐力上の瑕疵が「一定程度存在する」可能性があるとされます。
  • 《レベル3》幅0.5mm以上、またはさび汁(鉄筋の錆による汁)を伴うひび割れは、「高い」リスクとされ、構造耐力上の重大な瑕疵が存在する可能性が指摘されています。

引用:国土交通省「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」

さらに、宅地建物取引業法に基づく建物状況調査では、「ひび割れ幅0.5mm以上」や「深さ20mm以上の欠損」を建物の劣化事象として挙げています。これらの基準は、戸建て住宅の外壁にひび割れを発見した場合の危険性を判断する際の重要な目安となり、適切な時期に修繕や補強が必要であることを示しています。

クラックの幅が0.3mmがひとつの目安

幅が0.3mm以下のクラックは「ヘアクラック」と呼ばれ、髪の毛ほどの細さを示します。この段階では内部への水の浸入は少なく、緊急性は低いものの、早めの対処をお勧めします。この幅のクラックは、多くの場合、見た目の問題に留まり、建物の構造的な強度に影響を与えることはありません。

0.5mmを超えたら危険

また、0.3mmから0.5mmの幅のクラックは、水の浸入が起こりやすくなり、早急な対策が必要です。補修キットやスプレータイプの補修材をホームセンターなどで手に入れ、DIYで対応可能な場合もあります。ただし、高所での作業は危険を伴うため、安全を確保できる場合に限り自分で行いましょう。

さらに幅0.5mmを超えるクラックは、より深刻な問題を示唆しており、内部への水の浸入や構造的な損傷の可能性があります。この場合は、専門の施工会社などプロによる確認と対処が必要です。構造への影響を避けるためにも、早期に適切な措置をとることが重要です。

ホームセンターで買える!おすすめ調査グッズ

  • 打診棒:壁の浮きや空洞を確認するために使用します。
  • クラックスケール:ひび割れの幅を正確に測定します。
  • :目視で確認しにくい部分をチェックするために役立ちます。特に、3mm以上のクラックには注意が必要です。

不同沈下を疑う

不同沈下とは、建物の一部分のみが沈下し、全体が均等に沈まない現象を指します。これが原因で建物が斜めに傾くことがあり、その結果、歪みやクラックが発生する可能性があります。他にも、ドアや窓が正常に開閉しなくなったり、建物自体が傾斜したりすることが挙げられます。

引用:国土交通省 わが家の宅地点検① 〜不同沈下編〜

爆裂の可能性も

コンクリートの外壁で見られる別の一般的な問題に、爆裂(スパリング)があります。この現象は、内部の鉄筋がサビてその体積が膨張することにより発生します。通常、鉄筋の錆は、鉄筋に対するコンクリートのカバーが不十分である場合や、クラックを通じて水分が内部に侵入した結果として起こります。鉄筋の錆びによる体積の増加は、コンクリート内での圧力を高め、最終的にはクラックを引き起こし、コンクリートを外側に押し出して欠落させる原因となります。

補修方法

ひび割れの場合の補修方法

〜0.3mmのクラックには「シール工法」

シール工法は、〜0.3mm幅のクラックに適した補修方法であり、表面に樹脂を塗布することで行います。この方法は、比較的簡単にDIYできるため、コストを抑えながら補修することが可能です。

  1. クラック部分の清掃:クラック周辺の幅5cm程度をワイヤーブラシ等で磨き、埃や汚れを除去します。
  2. シーリング材の塗布:可とう性エポキシ樹脂やカチオン系ポリマーセメントフィラーをクラックに塗布します。コーキングガンを使用すると、材料をクラック深くまで充填しやすくなり、より効果的です。
  3. シーリング材の押し込み:ヘラやウエスを使ってシーリング材をクラックに沿ってなぞり、内部にしっかりと押し込みます。これにより、シール後の表面をなめらかに仕上げることができます。
  4. 表面の仕上げ:補修した箇所が目立つ場合は、外壁と同色の塗料で上塗りすることで、見た目を整えることができます。

0.3〜0.5mmのクラックには「樹脂注入工法」

0.3mmから0.5mmのクラックに適用される「樹脂注入工法」は、中程度のひび割れを補修する際に有効な手段です。クラック全体に樹脂を注入し、内部から補強する方法ですが、樹脂注入工法は専門的な技術を要するため、DIYではなくプロフェッショナルへの依頼を推奨します。

  1. 座金の取り付け:クラックに沿って約25cm間隔でシリンダー座金を配置し、底面にシーリング材を塗布して取り付けます。
  2. シーリング材の塗布:クラック及び座金周辺に、コーキングガンを用いてシーリング材を塗布し、24時間乾燥させます。
  3. 樹脂の注入:エポキシ樹脂の主剤と硬化剤を混合し、シリンダーで吸い上げた後、座金に取り付け、加圧して樹脂を注入します。注入後、24時間そのままにして樹脂を硬化させます。
  4. シリンダーの撤去と仕上げ:座金とシーリング材を除去し、余分な材料をヘラで削り取り、表面を滑らかに整えます。

0.5mm〜のクラックには「カットシーリング充填工法」

1mm以上のクラックに対応する「カットシーリング充填工法」は、大きめのひび割れを効果的に補修するための手法です。しかし、この方法は専門的な技術と特殊な工具を要するため、専門業者に依頼することが推奨されます。

  1. 溝の掘削:カットサンダーを使用して、クラックに沿ってU字型またはV字型の溝を掘ります。
  2. 清掃とプライマー塗布:圧搾空気で溝内のゴミや塵を除去後、シーリング材と相性の良いプライマーを溝内に塗布します。
  3. シーリング材の充填:溝内にシーリング材を充填し、ヘラを使って表面を平滑にします。その後、シーリング材が完全に乾燥するまで待ちます。
  4. ポリマーセメントの塗布:シーリング材の上にポリマーセメントペーストを塗り、再度ヘラで表面を滑らかにしてから乾燥を待ちます。
  5. 表面の仕上げ:補修箇所が外壁と異なる色や質感にならないよう、最終的に外壁と同じパターンや色で上塗りを行います。

ポップアウト現象の場合の補修方法

コンクリートポップアウトとは、外壁のコンクリート表面が皿状に剥離する劣化現象を指します。この現象は、コンクリート内部に存在する吸水性の粘土鉱物や他の膨張性物質が水分を吸収し、その後の凍結融解サイクルによって体積が増加し、表面が剥離することで発生します。

埋め戻し工法

剥離している部分のコンクリートを除去し、鉄骨を露出させて錆を落とし、防錆処理を施して、モルタルなどを充填することで補修を行います。

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