売れ残る底地の理由とは?売却を成功に導く交渉ポイントを徹底解説!

底地・借地

底地の売却が困難である理由には、様々なデメリットが関連しています

底地の購入希望者を見つけるのはなかなか難しく、買主が現れたとしても通常は売却価格が低く抑えられがちです。一方で、借地権者への売却は高価格を期待できる可能性もありますが、そのためには借地権者とのスムーズな交渉が必須となります。

この記事では、底地を売るための理由や交渉のポイントをご説明します。

底地が売れない理由

底地はその土地の形状や立地条件が良い場合でも売れにくい傾向にあります。この現象の背後には主に以下の4つの理由があります。

  • 購入後の使用制限:底地は購入しても自由に利用できない場合が多く、これが売却を難しくしています。
  • 借地権者とのトラブル:借地権者との関係が複雑で、トラブルに巻き込まれるリスクが存在します。
  • 収益性の問題:地代収入だけでは収益性が低いため、投資対象として魅力が薄れがちです。
  • 相続税の影響:相続が発生した際、底地は税負担を大きくする要因となることがあります。

これらの点を一つずつ詳しくご説明します。

購入後の使用制限

底地を購入する際の大きな課題の一つは、既に土地を使用している借地権者が存在することです。このため、新しい地主となった買主は土地を自由に利用することができません。

法的には、借地権者を土地から追い出すことはほとんど不可能です。借地権者に立ち退いてもらうためには、法的に正当な理由が必要であり、単に地主が使用したいという理由だけでは不十分です。即ち、高額な立退き料を提示しても、借地権者を退去させることは認められない場合が多いのです。

結果として、底地を購入することは、その土地を借地権のまま保持し続けることが基本的な前提となります。

借地権者とのトラブル

底地を購入した場合、購入者は借地権者から地代を受け取ることにより収益を得ることが目的です。しかし、この取引には以下のようなリスクが伴います。

  • 地代の未払い:借地権者が地代を期日に支払わない場合があります。
  • 契約更新料の未払い:更新時の料金を支払ってもらえないトラブルも発生します。
  • 無断の増改築:借地権者が無許可で建物を増改築することがあります。
  • 無断の譲渡:土地を第三者に譲渡されることも考えられます。

これらの問題は地主と借地権者の関係で頻繁に起こり得るため、地主はこれらに適切に対処する必要があります。問題が発生した際には、単なる督促だけでは解決しないことが多く、不動産会社や弁護士に相談することも必要になるでしょう。これは購入者にとっては精神的、財政的な負担となりますので、底地購入の際に検討すべき重要なポイントです。

収益性の問題

底地からの地代収入には、アパートやマンション経営と異なり空室リスクがなく、一定の安定収益が見込めるというメリットがあります。通常、地代は固定資産税や都市計画税、その他の経費の合計を3~4倍に設定することが一般的です。

しかし、この地代収入は、同じ面積の土地を活用した賃貸経営や駐車場経営に比べて非常に低いです。このため、投資家は同じ投資額でより高い収益を期待できる普通の土地を購入する方が魅力的と見なすため、底地は選ばれにくく、市場での売却が困難になります。この低収益性が底地の売れ残りの一因となっています。

相続税の影響

底地の相続税評価額は、路線価に基づく借地権割合を用いて計算されます。実際の市場価格が更地価格の10%程度であるにもかかわらず、相続税の評価額は更地価格の40%に設定されることが一般的です。

この高い評価額により、相続税の負担が重くなるため、底地を売却しても必要な相続税額を賄いきれないケースがあります。このため、将来の相続人にとって大きな経済的負担となる可能性が高いのです。このようなリスクが購入者を見つけることを困難にしています。

底地売却の方法とコツ

底地の売却は難しいものの、不可能ではありません。

具体的な方法として、以下の5つが挙げられます。

  1. 借地権者への売却:既に土地を使用している借地権者に直接売却する。
  2. 借地権者との同時売却:借地権者と協力して、土地と建物を一緒に売却する。
  3. 底地と借地権の等価交換:借地権を底地と交換し、完全所有権を持つ土地として売却。
  4. 第三者の投資家への売却:投資目的で土地を探している第三者に売却。
  5. 買取業者への売却:不動産買取業者に直接売却する。


ここからは、それぞれの方法について詳しく説明していきます。

借地権者への売却

底地を売却する際、最も有力な候補者はその土地の借地権者です。借地権者にとって、底地の購入に関連する一般的なデメリットが適用されないため、非常に魅力的です。

借地権者が底地を購入することで、完全な土地所有権を取得し、増改築、建て替え、第三者への譲渡、抵当権の設定など、以前は地主の許可が必要だった活動を自己の判断で行えるようになります

このような自由度の増加は借地権者にとって大きなメリットとなり、その結果、売却価格が相対的に高くなる傾向にあります。通常、売却価格は更地価格の約50%程度で取引されることが多いです。

借地権者との同時売却

借地権者が借地権を手放す意向がある場合、地主と借地権者が協力して底地と借地権付き建物を一緒に市場に出す同時売却が効果的です。この方法は、底地と借地権を別々に売却する場合に比べて、より高い価格での成約が期待できます。同時売却により、所有権の不動産として扱われることで、実勢価格に近い価格での取引が可能になります。

同時売却では、売却後の金銭の配分は双方の合意に基づき、通常は借地権の割合を参考に行われます。ただし、この方法では、買主が借地権者と地主の両方と契約を結ぶ必要があり、一方の契約が成立しなければ全体の取引が無効となるリスクが伴います。

底地と借地権の等価交換

底地の売却に際し、底地の面積が広すぎるか、資金力の制限で借地権を買い取れない場合、等価交換という方法が考慮されます。等価交換は、地主が借地権者に提供する底地と、借地権者が地主に提供する借地権を価値が等しくなるように調整して交換する手法です。交換の割合は通常、借地権の割合を基に決定されます。

この手法を用いると、交換した土地は完全所有権を持つ土地となり、一般的な所有権の土地と同様に市場価格での売却が可能です。等価交換による取引では、場合によっては「固定資産の交換の特例」が適用されることがあり、税負担を軽減できる可能性があります。

ただし、この特例が適用されるかは、具体的な適用要件を満たす必要があるため、実施に際しては専門の税理士に相談することを推奨します。この方法は、財務的な制約を有する地主と借地権者双方にとって、有効な解決策となります。

第三者の投資家への売却

借地権者への売却や同時売却、等価交換が適用できない場合、第三者の投資家に底地を売却する選択肢を検討することがあります。ただし、この方法では通常、売却価格が大幅に低下することに注意が必要です。借地権者への売却価格が更地価格の50%程度であるのに対し、第三者への売却では10%程度まで下がる可能性があります

底地を購入する第三者は、土地を自由に利用できないため、主に投資家や買取業者に限られます。もし時間が経過して借地契約が終了するか、借地権を買い取ることができれば、土地は完全所有権となり、市場価値が上昇する可能性があります。

底地の売却価格は通常、地代の収益性に基づいて算出されるため、第三者への売却価格は一般的に低めに設定されます。このことを念頭に置き、売却戦略を慎重に計画することが重要です。

買取業者への売却

底地を迅速に現金化したい場合、買取業者に売却する方法推奨します。

この方法は、すぐにでも売買契約を進めることができ、底地売却をスムーズに行える利点があります。買取業者は提出された査定金額に納得すれば、迅速に取引を進行できます。

また、権利関係が複雑であるか、借地権者とのトラブルがある底地でも、買取業者が対応してくれるケースが多く、これが大きなメリットです。

ただし、買取業者への売却は、一般的な不動産市場価格よりも低く設定されることがあるため、価格面での不利益を避けるためにも慎重に業者を選ぶことが重要です。

売却する相手別の交渉ポイント

最後に交渉のコツを売却相手別(借地権者・投資家・買取業者)にご紹介します。

借地権者

借地権者が底地を購入する際の重要な条件は価格です。

彼らが必要な資金を準備しているとは限らないため、購入の際には価格が重要な検討事項となります。借地権者は住宅ローンを利用できることもありますが、それにもかかわらず価格をできるだけ抑えたいと考えるのが一般的です。

交渉においては、底地を購入して所有権を得ることの利点を詳細に説明することが重要です。所有権を持つことにより、土地をより自由に使用でき、将来的には売却もしやすくなります。更地価格の50%を支払うことが、長期的に見て価値があると借地権者に理解してもらうことが、交渉を成功に導く鍵となります。

交渉が困難である場合には、不動産の専門知識を持つ不動産会社に交渉を依頼することも有効な手段です。この方法により、適切な価格設定と利点の強調が可能になり、交渉がスムーズに進むでしょう。

投資家

投資家に底地を売却する際、ポイントは地代から得られる収益です。

したがって、底地がどれくらいの収益を生む可能性があるかが交渉の中心となります。もし現在の地代が市場価値に見合っていない場合は、売却活動を開始する前に地代の見直しを行うことが望ましいです。これにより、投資家が自ら地代の交渉を行う手間を省くことができ、交渉がよりスムーズに進むでしょう。

さらに、借地契約の内容が明確に記された契約書や、土地および借地部分の境界線が明確な状態を事前に準備しておくことも重要です。これにより、購入後の疑問や問題を最小限に抑え、投資家にとって魅力的な買い物になります。

底地の売却交渉においては、投資家が底地の運用や管理を容易に行えるように事前に整理しておくことが、交渉を成功に導く鍵となります。

買取業者

買取業者への底地売却は、迅速に現金化できる利点がありますが、通常、第三者の投資家に売却する場合よりも価格が低く設定される傾向にあります。この理由は、買取業者が底地を購入後、再販売することを目的としているためです。利益を確保するためには、元の購入価格を低く抑える必要があります

さらに、買取業者が底地の取り扱いに慣れているかどうかによっても、査定価格は変動します。そのため、一つの業者だけに依存するのではなく、複数の買取業者に査定を依頼することが、底地の市場価値をより正確に把握するのに役立ちます

査定を依頼したからといって必ず売却を進めなければならないわけではないので、複数の見積もりを比較検討することが可能です。

まとめ

底地の売却は、買主が購入後に土地を自由に利用できないという制約から、一般的に困難です

しかし、これが底地がまったく売れないという意味ではありません。適切な売却方法を選択することで、底地の売却は十分に可能です。

売却交渉をスムーズに進めるためには、買主が懸念する問題を事前に解決しておくことが重要です。これにより、交渉時に壁になる可能性のある障害を減らすことができます。

また、どのように進めれば良いか不明な場合は、専門知識を持つ不動産会社に相談することを推奨します。

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